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相続

親の借金を知った日から3ヶ月。相続放棄で兄弟に連絡すべき理由

ヨバナシ編集部 読了 約7分

親が亡くなって預貯金を整理していたら、消費者金融からの督促状が、『負債のほうが資産より多い』親の借金を引き継がない唯一の方法が相続放棄です。3ヶ月の期限、必要書類、兄弟・甥姪へ連絡する義務、放棄しても残る『管理義務』の落とし穴まで、司法書士監修情報をベースにまとめます。

「お母さんが亡くなって、書類を整理していたら、消費者金融からの督促状が出てきた」

これは、相続でもっとも避けたいパターンの一つです。親に借金があったとは知らなかった、そんな状況で、何もしないと借金まで相続することになってしまいます。

唯一の解決策は、相続放棄。ただし、「自分のために相続開始を知った日から3ヶ月以内」という厳しい期限があります。

この記事では、3ヶ月の期限のカウント方法、家庭裁判所への必要書類、兄弟・甥姪に連絡すべき理由、放棄しても払う”管理義務”の落とし穴を、司法書士監修の一般情報をベースに解説します。

全体像から把握したい方へ:この記事は「相続」シリーズの一部です。元気なうちの3ステップ準備、遺言・家族信託、寄与分、相続放棄、葬儀・遺品整理までを8場面で整理した 60代から始める相続の完全ガイド もあわせてどうぞ。

相続放棄とは何か

整理する朝

借金もろとも、相続権を全部放棄する制度

相続放棄は、「私はこの相続に関わりません」と家庭裁判所に届け出る制度。

  • プラスの財産(預貯金・不動産)ももらえなくなる
  • マイナスの財産(借金・連帯保証債務)も引き継がない
  • 法律上、最初から相続人ではなかったことになる

3つのパターン

  1. 単純承認(何もしないとこれ):プラスもマイナスも全部相続
  2. 限定承認:プラスの範囲内でマイナスを引き継ぐ(手続き複雑、相続人全員の合意必要)
  3. 相続放棄:プラスもマイナスも全部放棄

借金が資産より多い場合は、相続放棄が原則の選択肢です。

3ヶ月の期限、「自分のために相続開始を知った日から」

「死亡日から3ヶ月」ではない

ここが超重要です。期限は「死亡日から」ではなく「自分のために相続の開始があったことを知った時から」3ヶ月。

具体例:

  • 親と疎遠で、死亡を知らなかった:知った日から3ヶ月
  • 親の死亡を知っていたが、借金の存在を知らなかった:借金を知った日から3ヶ月(特別な事情があれば)

「知った日」をいつとカウントするか

通常は、死亡日=知った日として扱われます。同居していた・葬儀に参加した・連絡を受けた、どれも該当。

ただし、以下のケースでは例外的に「借金を知った日」をスタートとして認められることも:

  • 親と完全に疎遠で、相続財産があるとは知らなかった
  • 預貯金しかないと信じる正当な理由があった
  • 後から借金が判明した(消費者金融からの督促等)

これは個別判断になるため、司法書士・弁護士に相談必須です。

期限を過ぎたらどうなるか

単純承認(自動的にすべて相続)

3ヶ月の熟慮期間内に何もしないと、自動的に単純承認=借金も相続となります。

「お父さんが亡くなって半年経って、借金があるとわかったが、もう放棄できないと言われた」

これは、「知らなかった」が認められる例外を主張できる場合もありますが、裁判所が認めるかは個別判断、リスク大です。

期限の延長は申し立て可能

財産調査に時間がかかる場合、「熟慮期間伸長の申立て」を家庭裁判所にすると、3ヶ月→さらに3〜6ヶ月伸長できます。

期限ギリギリで気づいたら、まず伸長申立て、これが鉄則。

家庭裁判所への必要書類

提出書類

  • 相続放棄申述書(家庭裁判所で配布、サイトでもDL可)
  • 被相続人(親)の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 被相続人の住民票除票(最後の住所地)
  • 申述人(あなた)の戸籍謄本
  • 収入印紙800円(申述人1人につき)
  • 郵便切手500円程度

手続きの流れ

  1. 被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申立て
  2. 照会書(家裁から送られてくる質問状)に回答
  3. 約1〜2ヶ月で「相続放棄申述受理通知書」が届く
  4. 受理通知書を債権者(消費者金融など)に送付して完了

手続き自体は、自分でも可能。費用は数千円。ただし、戸籍を集めるのが手間なので、司法書士に5〜10万円で代行依頼するのも実用的です。

兄弟・甥姪に「連絡すべき」3つの理由

理由1:法律上の連絡義務はないが、人間として大事

民法上、自分の相続放棄を他の相続人に通知する義務はありません。

しかし、自分が放棄すると、相続権が次順位に移るため、知らないままでは兄弟・甥姪が知らずに借金を相続してしまうリスクがあります。

理由2:次順位への波及

民法の相続順位:

  • 第1順位:子(亡くなっていれば孫)
  • 第2順位:親(亡くなっていれば祖父母)
  • 第3順位:兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪)

子全員が放棄すると、親(被相続人の親)に相続権が移る。親が亡くなっていれば、祖父母→兄弟姉妹→甥姪へ波及します。

借金があれば、最終的に甥姪まで巻き込むことに。

理由3:信頼関係を保つため

「あなたに連絡しないまま放棄したから、急に督促状が来た」、これは家族の関係を壊します。

「お父さんが亡くなって、私たち子は放棄しました。相続権が次の順位に移るので、お父さんの兄弟(おじさん・おばさん)にも、放棄を検討してほしい」

このような連絡を、書面(手紙またはLINE)で残しておくのが望ましいです。

放棄しても残る「管理義務」の落とし穴

静かな決断の時間

民法940条、管理義務

相続放棄しても、他に相続する人が見つかるまで(または相続財産清算人が選任されるまで)、放棄した人には「自分の財産と同じ注意で管理する義務」があります。

例:実家の管理

  • 空き家になった実家を放置→隣家に被害(倒壊、火災)→損害賠償の可能性
  • 税金(固定資産税)の通知が来る→管理者として対応必要

解決策:相続財産清算人の選任

放棄後の管理義務を消すには、家庭裁判所に「相続財産清算人の選任」を申し立てます。

  • 予納金:50〜100万円必要(家庭裁判所への前払い)
  • 期間:申立てから清算人選任まで1〜3ヶ月
  • 効果:選任後、管理義務から解放

「放棄したから関係ない」が通用しないのが、この管理義務の怖さです。

60代長女・玲子さん(仮名)の相続放棄

玲子さんは、母(80歳)の死後1ヶ月で、消費者金融3社から計800万円の督促状を発見しました。

進め方

  1. 発見の翌日:司法書士に電話相談(無料)
  2. 5日後:兄弟2人を含めた家族会議。3人とも放棄を決断
  3. 2週間後:戸籍謄本一式を集め、家庭裁判所に申立て
  4. 申立てから6週間後:3人とも相続放棄申述受理通知書を受領
  5. 同時に:母の兄弟(おじ・おば3人)にも「次順位に相続権が移ること」をハガキで連絡

その後、おじ・おばも全員相続放棄。最終的に相続財産清算人が選任され、銀行が貸付を回収して終了。

「司法書士費用の総額20万円。これで800万円の借金から逃れられた」

相続放棄の前にやっておくこと

① 親の財産を最大限調べる

  • 預貯金の通帳・カードを全部探す
  • 不動産の固定資産税納税通知書を確認
  • 保険証券を確認(生命保険は相続財産ではないので、放棄しても受取可)
  • 株式・投資信託の証券会社に問い合わせ

② 借金を最大限調べる

  • 督促状・請求書をすべて集める
  • JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センターで信用情報開示(1社あたり1,000円)
  • 保証人になっている可能性を考慮

③ プラスマイナスを比較

プラス>マイナスなら相続、プラス<マイナスなら放棄が原則。

ただし、保険金、年金など放棄しても受け取れるものもあるので、専門家相談を。

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相談できる窓口

  • 司法書士会:相続放棄手続き代行
  • 法テラス:収入条件で無料法律相談
  • 弁護士会の無料相談:個別ケースの判断
  • 家庭裁判所:相続放棄の申立て

秘密会議のみなさんへ

  • 相続放棄の期限は「自分のために相続開始を知った日から」3ヶ月
  • 期限ギリギリなら、まず熟慮期間伸長の申立て
  • 必要書類は戸籍謄本+申述書+800円印紙
  • 次順位の兄弟・甥姪にも放棄を伝えるのが大事
  • 放棄しても管理義務は残る、清算人選任で消す
  • 司法書士なら5〜10万円で代行可、自分でもできる

「親の借金まで背負うなんて」と諦めずに、3ヶ月以内に相続放棄を選択肢に入れてください。今日、督促状を見つけたら、明日、司法書士に電話を。


※本記事は一般的な制度解説です。個別の相続案件(期限の判断、管理義務の対応、限定承認の検討など)は、必ず司法書士・弁護士など専門家にご相談ください。

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