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相続

相続放棄の3ヶ月、わたしが娘と作った週ごとのタイムライン

ヨバナシ編集部 読了 約8分

母の借金が見つかり、相続放棄を決めたわたしは、3ヶ月以内に手続きを終える必要がありました。65歳のわたしと、娘で、12週間のタイムラインをExcelで作り、毎週、何をするかを決めて進めました。週別の具体的なTo Do、必要書類、相談先、費用を、振り返って整理します。

去年の夏、わたしは、85歳で亡くなった母の財産整理を始めたとき、母の借金200万円を発見しました(別記事「相続放棄って何を失う?母の借金で悩んだ夏のこと」)。

法定の相続放棄期限は、3ヶ月。

母が亡くなったのは7月。 わたしが借金を発見したのが9月。

残された期限は、約2ヶ月でした。

慌てて手続きを進めようとしましたが、何から手を付けていいか、わかりませんでした。

そこで、娘(35歳)が、Excelで「相続放棄の12週間タイムライン」を、作ってくれました。

毎週、何をするかを、明確にして、ひとつずつ、こなしていく。

このタイムラインのおかげで、わたしと弟は、期限内に、無事に相続放棄を、完了できました。

今日は、その12週間のタイムラインを、振り返って、整理してお伝えします。

重要なお断り:この記事は、わたしの家族のケースです。相続放棄の手続きや必要書類は、ご家庭ごとに違います。具体的な手続きは、必ず弁護士、司法書士、または法テラスにご相談ください。

相続放棄の期限と、なぜタイムラインが必要か

まず、相続放棄の期限について、整理します。

公的な情報源では、こう案内されています。

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。相続の放棄をする期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内である。

民法第915条 / 国税庁「相続税法における放棄の取扱」

「3か月以内」というのが、いちばんの制限です。

この3か月で、必要書類を集め、家庭裁判所に申述書を提出し、受理される必要があります。

ぼんやり進めていると、間に合いません。 タイムラインで管理することが、本当に大事です。

12週間のタイムライン全体像

娘と作ったタイムラインの、全体像は、こうでした。

やること所要時間目安
1週目専門家への相談、家族会議半日
2週目必要書類のリストアップ半日
3週目戸籍謄本の取り寄せ半日
4週目母の借金詳細の確認半日
5週目母の財産の最終確認半日
6週目兄弟間の最終合意1日
7週目申述書の作成半日
8週目申述書を家庭裁判所に提出1日
9週目家庭裁判所からの照会回答半日
10週目母の遺品の形見分け(放棄の影響なし範囲)1日
11週目相続放棄申述受理通知書を受け取り(待つだけ)
12週目関係先への連絡(債権者、銀行)半日

12週間で、ちょうど3ヶ月。 これが、わたしと弟の、相続放棄の実際のタイムラインでした。

1週目: 専門家への相談 + 家族会議

最初の1週間で、いちばん大事なのが、専門家への相談です。

わたしは、法テラスに電話して、無料の弁護士相談を予約しました。

法テラスでの初回相談(30分)で、こんなことを確認しました。

  • 相続放棄が、わたしのケースで本当に適切か
  • 必要な書類のリスト
  • 申述書の書き方
  • 兄弟間の調整の進め方
  • 費用の目安

弁護士さんは、丁寧に、ぜんぶ教えてくれました。

そして、その日の夜、弟と私で、家族会議をしました。 弟も、すぐに「放棄に賛成」と決断してくれて、3兄妹で意見が一致しました。

これが、1週目です。

2週目: 必要書類のリストアップ

必要書類は、ケースによって違いますが、一般的にはこうです。

  • 申述書(家庭裁判所の用紙、または自作)
  • 申述人(私と弟)の戸籍謄本
  • 被相続人(母)の住民票除票、または戸籍の附票
  • 被相続人(母)の死亡記載のある戸籍謄本
  • 収入印紙(800円分、申述人1人につき)
  • 連絡用の郵便切手(裁判所による)

これらを、申述人(私と弟)それぞれが、用意する必要があります。

娘と一緒に、リストを作って、誰がいつまでに取り寄せるかを、決めました。

3週目: 戸籍謄本の取り寄せ

戸籍謄本は、本籍地の市区町村で取得します。

母は、結婚前は別の県に本籍があり、結婚後に転籍していました。 そのため、母の「出生から死亡までの戸籍」を、複数の自治体から、取り寄せる必要がありました。

これに、3週目を、まるまる、使いました。

便利だったのが、「広域交付制度」(2024年3月から始まった制度)です。 これを使うと、自分の本籍地以外の自治体の窓口でも、戸籍を取得できるようになりました。

公的な情報源では、こう案内されています。

戸籍法の一部改正により、令和6年3月1日から、本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍謄本などを請求できる「広域交付」が始まりました。

法務省「戸籍法の一部改正について」

これを使えば、引っ越しなどで本籍が変わっている方も、近くの市区町村で、ぜんぶ取り寄せることができます。 所要時間は、1自治体あたり、約30分でした。

4週目: 母の借金の、詳細確認

借金の詳細は、母の通帳と、書類から、調べました。

具体的には、こんなものを確認しました。

  • 母名義の借入契約書(消費者金融3社から)
  • 母名義のカードローン(銀行カード1枚)
  • 借入残高の最新確認(各社の窓口に電話で確認)
  • 母名義の保証契約があるか(これが、後で大きな問題になることがあります)

母の場合、保証契約は、ありませんでした。 これは、本当に運がよかった、と感じます(保証契約があると、母が借りていなくても、相続人が肩代わりすることがあります)。

5週目: 母の財産の、最終確認

借金の確認と並行して、母の財産も、最終確認しました。

  • 母名義の銀行口座の残高(最新)
  • 母名義の保険(満期、解約価値)
  • 母の不動産(実家の土地と建物の評価額)
  • 母の遺品(時価で価値のあるもの)

母の財産の合計は、約500万円でした。 借金は、200万円。

差し引きすると、300万円のプラスでしたが、それでも、わたしと弟は、相続放棄を選びました。 理由は、実家の手放しの手間と、200万円という借金の「重さ」が、わたしたちの心に、しんどかったから、です。

6週目: 兄弟間の最終合意

弟と、もう一度、家で会って、最終合意を取りました。

A4の紙に、「わたしと弟は、ともに相続放棄をする」と書いて、お互いに署名しました。

これは、法的に拘束力があるものでは、ありません。 ですが、わたしたち兄妹の中で、「あとから揉めない」ためのメモとして、書きました。

7週目: 申述書の作成

申述書は、家庭裁判所のホームページから、書式をダウンロードできます。

書く内容は、以下です。

  • 申述人(自分)の名前、生年月日、住所、職業
  • 被相続人(母)の名前、生年月日、本籍、死亡日
  • 法定相続人の関係(申述人と母の続柄)
  • 相続放棄の理由
  • 添付書類のリスト

「相続放棄の理由」は、シンプルに「相続財産より相続債務のほうが上回るため」と書きました。

書式は、A4で2枚ほどです。

8週目: 申述書を家庭裁判所に提出

申述書は、被相続人(母)の最後の住所地の家庭裁判所に、提出します。

わたしは、母の住所地の家庭裁判所に、直接、申述書を提出に行きました。 弟は、郵送で、提出しました。

窓口の方が、書類のチェックをしてくれて、「不備があったら、後で連絡します」と言ってくれました。

費用は、収入印紙800円と、郵便切手数百円。 合計で、約1,500円ほどでした。

9週目: 家庭裁判所からの照会回答

申述書を提出した後、家庭裁判所から、A4で2枚の「照会書」が、自宅に届きました。

質問内容は、こんなものでした。

  • 被相続人(母)の死亡を知った日
  • 相続財産を、すでに処分したかどうか
  • 相続放棄に至った経緯
  • 他の相続人の状況

これらに、ペンで回答して、家庭裁判所に返送しました。

これも、半日で済みました。

10週目: 母の遺品の形見分け

相続放棄が確定する前に、母の遺品の「形見分け」をしました。

別記事(相続放棄って何を失う?)に書いたように、形見分けは、慎重に進める必要があります。

価値のある遺品(宝石、預貯金など)を持ち帰ると、相続放棄が、無効になることがあるからです。

わたしは、弁護士さんに事前に確認した上で、価値が極めて少ない、母の思い出の品だけを、持ち帰りました。

  • 母の手作りのクリスマスツリー
  • 母のアルバム
  • 母が編んだセーター3着
  • 母の振袖

これらは、価値が、ほぼ0円のもの、と弁護士さんが確認してくれました。

11週目: 相続放棄申述受理通知書

申述書提出から、約3週間後、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が、届きました。

これが届くと、わたしの相続放棄は、法的に確定しました。

これで、母の借金200万円も、わたしの責任ではなくなりました。

12週目: 関係先への連絡

最後に、母の借金の債権者(消費者金融3社、銀行1社)に、相続放棄申述受理通知書のコピーを、送りました。

これで、債権者からの請求が、止まります。

母の銀行口座も、同じ通知書のコピーを送って、口座の閉鎖手続きを、お願いしました。

これで、12週間の、相続放棄の手続きが、ぜんぶ、完了しました。

全体でかかった費用

12週間で、かかった費用を、まとめます。

  • 法テラスの初回相談: 無料
  • 戸籍謄本(被相続人1人分): 約3,000円
  • 戸籍謄本(申述人1人分): 約1,000円
  • 収入印紙: 800円
  • 郵便切手: 600円
  • 申述書のコピー代: 300円
  • 関係先への通知のコピー代と郵送代: 2,000円

合計で、約7,700円。

これに加えて、相続放棄手続きを、司法書士さんに依頼した場合は、5万円〜15万円が目安と言われています。

わたしは、娘の助けがあって、自分でできたので、司法書士費用は、かかりませんでした。

自分でできるか、専門家に頼むか

最後に、相続放棄を、自分でやるか、司法書士に頼むか、の判断について。

自分でできるケース:

  • 相続関係が単純(配偶者+子のみ)
  • ご家庭内で、相続放棄に反対する人がいない
  • 戸籍の取り寄せが、自分でできる
  • A4の申述書の作成と、家庭裁判所への提出ができる

司法書士に頼むべきケース:

  • 相続関係が複雑(代襲相続、再婚など)
  • 期限がもう1ヶ月以下に迫っている
  • 兄弟間で意見が割れている
  • 戸籍の取り寄せが、複雑(複数の県、海外など)

わたしの場合は、「自分でできる」ケースでした。 娘の助けがあったから、できた、というのも、大きいです。

さいごに

相続放棄の3ヶ月は、本当に、慌ただしい時間です。

ですが、12週間のタイムラインで、毎週「今週は何をするか」を明確にしておけば、期限内に、確実に、終わらせることができます。

これを読んでくださっている方が、もし将来、相続放棄に直面したとき、この記事のタイムラインを、参考にしてもらえれば、本当に、うれしいです。

母の借金で悩んだ夏から、約1年。

いま、わたしは、母の遺品(価値の少ない思い出の品)に囲まれて、母を、ふんわりと、思い出しています。

借金は、もう、わたしの肩には、ありません。

なお、繰り返しになりますが、相続放棄の手続きや必要書類は、ケースによって違います。具体的な進め方は、必ず弁護士、司法書士、または法テラスにご相談のうえで、進めてください。

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