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コラム

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義母を『お母さん』と呼べなかった、嫁の30年

ヨバナシ編集部 読了 約3分

嫁いで30年、わたしはどうしても義母を『お母さん』と呼べませんでした。『あの』とごまかし続けた長い年月と、義母が施設に入る前の日、はじめて呼べた日のこと。嫁姑の小さなわだかまりに悩む60代の方へ、わたしの体験をお伝えします。

嫁いで、30年。

わたしは、どうしても、義母を、「お母さん」と、呼べませんでした。

呼ぼうと、すると、喉の、あたりで、言葉が、つかえて、出てこない。

だから、いつも、「あの」とか、「すみません」とか、そんなふうに、ごまかして、きました。

今日は、その、義母を、「お母さん」と、呼べなかった、わたしの、30年の話を、お伝えします。

なお、これは、わたし個人の、体験です。義母との関係は、人それぞれ、違います。あくまで、ひとつの話として、お読みください。

はじめの、つまずき

嫁いだ、最初の年。

わたしは、義母を、なんと、呼べばいいか、わからずに、いました。

実家の母は、「お母さん」。

では、義母も、「お母さん」と、呼ぶのが、いいのだろう。

頭では、そう、わかって、いました。

ですが、いざ、口に、しようと、すると、できないのです。

別記事(嫁いで初めての夏、姑に教わった梅仕事のこと)にも書いた、あの、緊張した、最初の夏。

義母は、しっかりした、きちんとした方で、わたしは、いつも、少し、身構えて、いました。

その、身構えた、気持ちが、「お母さん」の、一言を、遠ざけて、いたのだと、思います。

「あの」で、ごまかし続けた

それから、わたしは、義母を、呼ぶとき、いつも、「あの」で、はじめました。

「あの、お茶、いれましょうか」 「あの、これ、どうしましょう」

義母も、たぶん、気づいて、いたと、思います。

この嫁は、わたしを、「お母さん」と、呼ばないな、と。

でも、義母は、何も、言いませんでした。

わたしも、言い出せないまま、月日が、過ぎていきました。

5年、10年、20年。

「お母さん」の、たった、四文字が、どうしても、言えないまま。

呼べない、自分が、嫌だった

正直に、言うと、呼べない、自分が、嫌でした。

義母のことが、嫌いだった、わけでは、ないのです。

むしろ、年を、重ねるごとに、義母の、苦労や、優しさが、わかるように、なりました。

別記事(姑の口癖、嫁のわたしが30年で意味を知った日)に書いたように、義母の、きつい言葉の、裏にあった、思いも、少しずつ、わかってきました。

それなのに、「お母さん」と、呼べない。

その、ちぐはぐさが、わたしの、胸の、どこかに、ずっと、ひっかかって、いました。

施設に、入る、前の日

義母が、年を、とって、ひとりでの、暮らしが、難しく、なりました。

家族で、話し合って、義母は、施設に、入ることに、なりました。

その、前の日。

わたしは、義母の、荷物の、整理を、手伝いに、行きました。

長年、暮らした、家を、離れる、義母は、ぽつりと、言いました。

「いろいろ、世話に、なったわね」

その、小さな声を、聞いたとき、わたしの、胸の、つかえが、すっと、ほどけました。

そして、気がつくと、わたしは、こう、言っていました。

「お母さん、こちらこそ、ありがとうございました」

30年で、はじめて。

「お母さん」と、自然に、呼べた、瞬間でした。

義母の、ちいさな、うなずき

義母は、わたしの、顔を、見て、少しだけ、目を、見開いて。

そして、ちいさく、うなずきました。

何も、言いませんでしたが、その、うなずきが、すべてを、語って、いるように、感じました。

「やっと、呼んで、くれたわね」

そう、言われた、気が、しました。

長い、30年でしたが、最後に、間に、合ったのです。

わだかまりは、ほどける

義母は、その後、施設で、穏やかに、過ごして、います。

会いに、行くたびに、わたしは、ちゃんと、「お母さん」と、呼べるように、なりました。

不思議なものです。

一度、口に、出せたら、あんなに、つかえて、いた言葉が、すっと、出てくる。

別記事(義実家の合鍵を返した日、夫婦で話したこと)にも書いたように、義実家との、関係は、年月とともに、かたちを、変えていきます。

呼び方、ひとつでも、わだかまりは、少しずつ、ほどけて、いくのだと、思います。

さいごに

嫁いで、30年、義母を、「お母さん」と、呼べなかった、わたし。

施設に、入る、前の日、はじめて、自然に、その言葉が、出ました。

もし、今、義母との、間に、小さな、わだかまりを、抱えている方が、いたら。

呼び方でも、言葉でも、いつか、ふっと、ほどける日が、来るかもしれません。

無理に、急がなくても、いいのだと、思います。

でも、もし、そのときが、来たら、その、ちいさな、一歩を、踏み出して、みてください。

きっと、心が、少し、軽くなります。

義母との、距離感に、悩んでいる方は、別記事(義母との距離感に疲れた50〜60代妻の完全ガイド)も、あわせて、ご覧ください。

なお、義母との関係は、ご家庭ごとに、本当に違います。ご自分の、ペースで、無理のない、距離を、見つけてみてください。

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