介護休業の2026年改正|会社員50代が知るべき4つの変更点
2025年改正・2026年4月施行の育児・介護休業法。50代会社員と中小企業の管理職が押さえるべき4つの変更点(個別の周知・意向確認、両立支援制度の周知・意向確認、研修・相談窓口の整備、雇用環境整備)を実務的にまとめました。
2025年に改正された育児・介護休業法が、2026年4月から段階的に施行されています。
50代の会社員にとって、ここ数年で最も大きな改正は、介護休業を取らせる側(会社)の義務が増えたことです。
これまでは「介護休業を取りたい人は、自分で申請する」という個人責任型でしたが、改正後は「会社が個別に周知し、意向を確認する」義務になりました。
つまり、50代社員が親の介護に直面したとき、会社が「黙って辞められる」のではなく、「会社から制度の説明を受ける権利」が法的に発生します。
この記事では、知っておくべき4つの変更点を、実務的にまとめます。
変更点1. 個別の周知・意向確認の義務化
最大の変更点です。
会社は、社員から介護に直面した申し出があった場合、以下を個別に周知しなければなりません。
- 介護休業制度(最大93日、通算3回まで分割取得可)
- 介護休業給付金(賃金の67%)
- 介護休暇(年5日、対象家族2人以上なら年10日、時間単位取得可)
- 介護のための所定外労働の制限
- 介護のための時間外労働の制限
- 介護のための深夜業の制限
- 所定労働時間の短縮等の措置(時短勤務など)
そして、これらを使う意向があるかを、個別に確認しなければなりません。
「会社に言いにくくて、黙って辞める」が起きにくくなる仕組みです。
詳しい制度の中身は 介護離職で女性の年収は約半分に。辞める前に使う5つの制度 も参考になります。
変更点2. 両立支援制度の周知も義務化
「介護を始める前」の段階でも、会社は介護両立支援制度の存在を周知しなければなりません。
具体的には、以下のタイミングで周知が必要です。
- 40歳到達時(介護保険料の徴収開始時)
- 介護休業や介護休暇の取得を申し出た時
- 介護関係で何らかの相談を受けた時
40歳になった時点で、すべての社員に「介護休業の制度があります」と説明される、ということです。
「親の介護なんて、まだ先」と思っている50代も、その時点で制度を知ることになります。
変更点3. 研修・相談窓口の整備
会社は、以下のいずれかを必ず実施しなければなりません。
- 介護休業の取得促進に関する研修の実施
- 介護休業に関する相談窓口の設置
- 過去の介護休業取得事例の収集と提供
- 介護休業の取得を促進する方針の周知
中小企業も例外ではありません。
「うちは小さい会社だから介護休業なんて」と言う上司がいたら、「会社の義務ですよ」と返せる根拠が、この変更点です。
変更点4. 雇用環境整備の義務化
会社全体の雰囲気として、介護休業を取りやすくする仕組みづくりが義務化されました。
具体的に求められるのは:
- 介護休業の取得を促進する方針の社内周知
- 介護休業中の業務分担ルールの整備
- 介護休業からの復帰支援
- 不利益取扱いの禁止(介護休業を理由に降格・解雇できない)
「介護休業を取ったら、戻る席がない」を防ぐ仕組みです。
50代会社員が、いま会社に確認すべきこと
改正を踏まえて、50代会社員が確認しておくべきことは以下です。
- 自社の介護休業の規定が改正に対応しているか(就業規則を確認)
- 介護関係の相談窓口がどこか(人事部、または専用部署)
- 介護休業中の給与・賞与・退職金の取り扱い
- 復帰時の業務・役職・勤務地の取り扱い
- 介護休業給付金の申請方法(ハローワークと会社の役割分担)
ひと言で人事に「介護休業について教えてください」と言うだけで、会社の義務として制度説明を受けられます。
「制度を知っている」と「使える」は別
ここまでが、2026年4月改正の中身です。
ただし、現実問題として、制度を知っているだけでは介護離職は防げません。
実際の介護では、急な入院・施設探し・きょうだいとの分担・お金の問題が同時に襲ってきます。制度を使いこなすには、事前の準備が必要です。
- 親の介護保険認定の有無を把握しておく
- 親のかかりつけ医・お薬手帳の場所を知っておく
- 親の金融機関と財産の概要を把握しておく
- きょうだいとLINEグループを作っておく
- 自社の人事窓口を確認しておく
これら5つを、親が元気なうちに済ませておくことで、いざ介護が始まったときに、制度をすぐ使える状態になります。
詳しくは 親の介護に直面した50代娘の完全ガイド を参考にしてください。
まとめ
2026年4月以降、介護休業は「会社からも提案される」制度になりました。
- 個別の周知・意向確認が会社の義務
- 40歳到達時から両立支援制度を案内される
- 研修・相談窓口の整備が必須
- 雇用環境整備の義務(不利益取扱いの禁止)
「親の介護で会社を辞めるべきか」と一人で抱える時代ではありません。
会社の人事に、まず一言「介護休業について教えてください」と言ってみてください。改正後は、それで会社が個別に動く義務があります。
相談できる窓口
- 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイント」公式ページ
- 都道府県労働局 雇用環境・均等部:会社が制度を整備していない場合の相談
- ハローワーク:介護休業給付金の申請
- 法テラス:不利益取扱いを受けた場合の法律相談
- 会社の人事部・労働組合
同じシリーズの他の話
周辺の完全ガイド
この話を分かち合う