へバーデン結節と暮らす60代妻の家事の工夫3つ
60代女性に多いへバーデン結節は、指の第一関節が変形して痛む病気です。瓶のフタが開けられない、包丁が握れない、洗濯バサミがつかめない。痛みと一緒に毎日の家事を続ける、ある妻の3つの工夫と、夫にお願いしたこと、そして買ってよかった100円グッズをまとめました。
朝、お味噌汁のために、出汁パックの袋を開けようとして、わたしは思わず声を上げました。
「いたっ」
人差し指の、第一関節が、ずきっと痛んだのです。
これが、わたしのへバーデン結節の始まりでした。62歳のときです。
整形外科で診てもらうと、「典型的なへバーデン結節ですね。60代の女性にはとても多いです」と言われました。
完治する病気ではなく、症状をなだめながら、つきあっていく病気だそうです。
それから3年。わたしは65歳になりましたが、毎日の家事を、なんとか続けています。
ただ、そのままでは続けられませんでした。家事のやり方を、少しずつ変えてきました。
この記事では、わたしが3年かけて見つけた、痛みと一緒に家事を続けるための工夫を3つ、お伝えします。
へバーデン結節とは(かんたんに)
まず、ご存じない方のために、簡単に説明します。
へバーデン結節とは、手の指の、爪に近い第一関節が、痛んだり腫れたり変形したりする病気です。
特徴は、こんな感じです。
- 40代後半から60代の女性に圧倒的に多い
- 人差し指、中指、薬指の第一関節に出やすい
- 関節がぼこっとふくらむ
- 物をつまんだり、フタを開けたりするときに痛む
- 完全に治す薬はまだない(2026年時点)
原因はまだはっきりわかっていませんが、女性ホルモンの減少が関係していると言われています。だから、閉経後の女性に多いのだそうです。
公的な情報源では、こう説明されています。
一般に40代以降の女性に多く発生します。原因は不明で体質や手を良く使う人にはなりやすい傾向があります。
わたしの場合は、両手の人差し指と中指の、合計4本が変形しています。
工夫① 「指の腹」でなく「手のひら」で持つ
最初に身につけたのが、これでした。
それまでわたしは、なんでもかんでも、指先でつまんで持っていました。たまごをつまむ、フライパンの取手をつまむ、布巾をつまむ。すべて指先です。
ところが、指先でつまむ動作は、へバーデン結節の関節に、いちばん負担がかかります。
そこで、わたしは意識的に、こう変えました。
- たまごは、両手のひらで包むように持つ
- フライパンの取手は、5本の指全体で握る
- 布巾は、手のひらをのせて押さえる
- お皿は、両手のひらで下から支える
最初は不器用に感じました。でも、慣れると、これがいちばん指に優しい持ち方でした。
特に「両手で持つ」だけで、片手にかかる負担は半分になります。
朝のたまごを片手でつまんでいたあの頃が、いま思うと、なんと無謀だったかと思います。
工夫② 「100円ショップグッズ」で家事の8割が楽になった
整形外科で「痛むことはなるべく避けてください」と言われましたが、家事を全部やめるわけにはいきません。
そこで、100円ショップで、いろいろなグッズを買って試しました。本当に役に立ったものを、5つだけご紹介します。
ひとつめは、「ジャー・オープナー」です。 瓶のフタを開けるためのゴム製の道具で、フタの上にのせて回すだけで、力をほとんど入れずにフタが開きます。これがなければ、ジャムも梅干しも、わたしは一生開けられなかったと思います。
ふたつめは、「電動式の缶切り」です。 最近は1,000円くらいで買える電動の缶切りがあります。100円ではありませんが、これも本当に楽になりました。サバ缶や桃缶を、指の力なしで開けられます。
みっつめは、「軽量のフライパン(セラミック製)」です。 鉄製のフライパンは、わたしの指にはもう重すぎました。500g以下の、セラミック製のフライパンに変えてから、料理が楽になりました。
よっつめは、「クリップタイプの洗濯バサミ」です。 バネをつまむ普通の洗濯バサミは、わたしの指には拷問でした。指でつまむ動作なしで、上から押すだけで開閉できる、クリップ式のものに全部買い替えました。
いつつめは、「ペットボトルのフタを開ける道具」です。 これも100円で買えます。ペットボトルのフタを、軽く回すだけで開けられるシリコン製の小さな道具で、引き出しに常備しています。
これら5つで、わたしの家事の8割は楽になりました。
合計しても、3,000円もかかっていません。
工夫③ 夫に頼んだ「3つの家事」
これがいちばん勇気が要りました。
それまで、わたしは家事を頼むのが下手でした。「自分でやったほうが早い」と思っていたのです。
でも、へバーデン結節と診断されてから、わたしは思いきって、夫に3つの家事だけ、頼みました。
ひとつめ、ペットボトルとビンの開封です。 朝、夫が出かける前に、その日に使う調味料や飲み物のフタを、全部開けておいてもらいます。これだけで、わたしの1日の痛みが、ぐっと減りました。
ふたつめ、洗濯物の取り込みです。 夕方、洗濯物をベランダから取り込む作業は、洗濯バサミを何十回も指でつまむ動作です。これは、夫が定時で帰る日(週3回)はお願いするようにしました。
みっつめ、ゴミ袋の口を結ぶ作業です。 あの「キュッ」と結ぶ動作は、指先に強い力が要ります。これは夫の朝の仕事になりました。
最初、夫に頼むときは、本当に勇気が要りました。
「いまさら家事を頼むなんて」「気を遣わせて悪い」「機嫌が悪くなるんじゃないか」、いろいろ考えました。
でも、勇気を出して話してみると、夫はあっさり「いいよ」と言ったのです。
「お前、痛みを言わなさすぎなんだよ。もっと早く言ってくれればよかったのに」とも言いました。
わたしは、3年間、夫に痛みのことをほとんど話していなかったのです。
夫に頼んでいなかったのは、夫のせいではなく、わたしのほうの問題だったのです。
病院で勧められた、自宅でできるケア
工夫だけでなく、自宅でできるケアも、いくつか紹介します。整形外科の先生に教えてもらったことです。
ひとつは、「お湯につける」ことです。 朝、洗面器にぬるめのお湯(40℃くらい)を張って、両手を5分つけます。これだけで、朝の関節のこわばりが、かなりラクになります。
もうひとつは、「指の付け根を反対の親指で軽くもむ」ことです。 痛む第一関節ではなく、その下の付け根のあたりを、優しくもむと、痛みが少し和らぎます。1日2、3回、テレビを見ながらでもできます。
ただし、痛みが強いときに無理に動かすと逆効果なので、痛い日はやめておきます。
そして、症状が進行して日常生活がつらいときは、整形外科でテーピング指導や、症状によっては装具療法や注射などの治療を受けられる場合もあるそうです。痛みが強くなったら、ひとりで我慢せず、必ず受診してください。
「家事をやめない」と決めた、わたしの理由
へバーデン結節と診断されたとき、わたしは一瞬、「もう家事はあきらめよう」と思いました。
でも、思い直したのです。
家事をやめると、夫と話すきっかけが減り、毎日のリズムが消え、わたしが「ただ家にいるだけの人」になってしまう。
それは、わたしには、痛みよりつらかったのです。
だから、わたしは「やめない方法」を3年かけて探しました。
- 持ち方を変える
- 道具を変える
- 夫に頼む
- 病院に行く
この4つを組み合わせれば、65歳のわたしでも、毎日料理を作れて、毎日洗濯ができて、毎日掃除機をかけられます。
完璧ではありません。痛い日は、もちろんあります。
でも、「全部できなくなる」ことは、ありませんでした。
さいごに
へバーデン結節は、本当につらい病気です。痛みもつらいですし、関節が変形していくのを鏡で見るのも、つらいです。
でも、つきあい方を覚えれば、家事も、夫婦の時間も、自分の楽しみも、続けられます。
もし、いま指先に痛みを感じているのに、まだ病院に行っていない方は、まず一度、整形外科を受診してみてください。早めにわかることで、対策が打てます。
ひとりで我慢する必要は、ありません。
ご家族にも、必ず話してください。
わたしの夫のように、「もっと早く言ってくれればよかった」と言ってくれる人が、きっと家にもいるはずです。
なお、この記事は個人の体験と、診察してくれた整形外科医からの助言をもとに書いていますが、症状や対応は人によって違います。実際の治療やケアについては、必ず医療機関にご相談ください。
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