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コラム

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実家を売って3年、姉妹で決めた『お母さん記念日』のこと

ヨバナシ編集部 読了 約6分

母が亡くなったあと、姉妹で実家を売却して、3年が経ちました。実家がなくなった寂しさを、わたしと妹で、ある方法で埋めています。それは、年に1回、ふたりで集まる『お母さん記念日』を、作ったこと。実家の代わりに、姉妹で築いた、新しい家族の場所の話を、お伝えします。

母が亡くなって、わたしと妹で、実家を売却したのは、3年前の夏でした。

別記事(実家を売ると決めた夏、姉妹で1日かけて話したこと)に書いた、わたしと妹の、大きな決断でした。

実家を売却してから、わたしと妹のあいだに、不思議なことが、起きました。

「お母さんのお墓参り」だけでは、足りない、と、ふたりとも、感じ始めたのです。

お墓参りは、年に2回(お盆と春のお彼岸)。 ですが、実家を失ったわたしたちには、それでは、お母さんと過ごす場所が、足りませんでした。

そこで、わたしと妹は、3年前から、「お母さん記念日」という、新しい年中行事を、作りました。

今日は、その話を、書きたいと思います。

お母さん記念日とは

お母さん記念日は、わたしと妹で、年に1回、ふたりだけで集まる、ささやかな儀式です。

決め事は、こうです。

  • 日付: 11月の第3土曜日(母の誕生日に近い日)
  • 場所: 母が、生前、大好きだった、某駅前のホテル
  • 時間: 午後2時から、ホテルにチェックイン、翌朝10時まで(1泊2日)
  • ふたりだけで、過ごす(夫や、子どもたちは、来ない)

費用は、ひとり、1泊2食付きで、約15,000円。 1人あたり、15,000円というのは、わたしと妹の年金生活で、年に1回なら、捻出できる金額です。

これを、3年、続けています。

過ごし方: 「お母さんと、過ごしているように」

お母さん記念日の、過ごし方は、こうです。

1日目の午後2時 - チェックイン

ホテルにチェックインしたら、まず、母の写真を、テーブルに、置きます。

母の、いちばん好きだった、60歳の頃のスナップ写真。 笑顔で、お父さんと、自宅の庭で撮った写真です。

その写真の前に、ホテルのウェルカムティーを、3つ、置きます。 わたし、妹、母の分。

「お母さん、いらっしゃい」

わたしと妹で、声に出して、母に、ご挨拶します。

1日目の午後3時 - 母の話を、ゆっくりする

それから、わたしと妹で、母の話を、ゆっくり、します。

たいていは、年に1回、新しい思い出を、見つけます。

「お母さんが、わたしが小学校1年生のとき、初めての参観日に、緊張で胃を壊した話、聞いた?」 「ううん。お母さん、わたしには、その話、しなかったわ」 「そうだったの。お母さん、わたしには、こっそり、教えてくれたの」

姉妹だからこそ、知っている話と、姉妹それぞれにしか、お母さんが話さなかった話。 それを、ふたりで、持ち寄って、共有します。

これで、母が、姉妹両方の中で、もう一度、生き直すような、感覚に、なります。

1日目の午後6時 - 母の好きだった夕食

ホテルのお食事処で、夕食を、いただきます。

母の好きだった、お刺身、お煮物、お吸い物、お赤飯。 これらが、コース料理で、出てくることを、わたしと妹は、事前にホテルに、リクエストしています。

お酒も、母が好きだった、地酒の冷酒を、1合だけ。

母の写真を、テーブルに、置いたまま、3人で、食事を、いただきます。

1日目の夜 - 母の物を、ひとつずつ、ふたりで見る

夕食のあと、お部屋に戻って、わたしと妹は、母の形見の品を、ひとつずつ、見ます。

  • 母が編んだ、わたしのセーター
  • 母の万年筆(妹が持っている)
  • 母のアルバムから、3枚の写真
  • 母が書いた、わたしと妹への、最後の手紙

これらを、ひとつずつ、手に取って、思い出を、語ります。

涙が、よく出ますが、これは、悲しみの涙、ではありません。 母と、まだ、一緒にいられる、という、温かい涙です。

2日目の朝 - 母への手紙を、ふたりで書く

翌朝、朝食のあと、わたしと妹は、それぞれ、母への手紙を、書きます。

A4の便箋1枚に、その年に、何があったか、いま何を、考えているか。 そして、来年の記念日まで、どう、母を、思って過ごすか。

書き終わったら、お互いに、その手紙を、見せます。

そして、ふたりで、その手紙を、ホテル近くのポストに、投函します。

ポストの先に、宛先は、ありません。

ですが、ポストに、投函することで、わたしと妹の、母への気持ちが、ちゃんと、形になります。

それを、3年、続けています。

お母さん記念日が、わたしと妹に、もたらしたもの

3年、続けて、わたしと妹に、生まれた変化を、お伝えします。

変化① 「実家を失った寂しさ」が、ぐっと、軽くなった

実家を売却して、最初の数ヶ月、わたしと妹は、ふと、「お母さんと過ごす場所」を、失ったような、寂しさが、ありました。

ですが、お母さん記念日が、その「場所」の代わりに、なりました。

毎年11月の第3土曜日、わたしと妹は、母と、ホテルで、1泊2日を、過ごします。

これが、わたしたちの「お母さんの場所」に、なりました。

変化② 妹との関係が、ぐっと、深まった

実家を売却するまで、わたしと妹は、特に、深い姉妹関係では、ありませんでした。

ですが、「お母さん記念日」を、3年続けて、わたしと妹は、35年で、いちばん、深い姉妹に、なりました。

ふたりで、母を、思い出す時間。 ふたりで、母への手紙を、書く時間。

これらが、わたしと妹を、ずいぶん、近くしてくれました。

変化③ 母が、わたしたちの中で、しっかり、生きている感覚

母は、亡くなって、3年経ちます。

ですが、年に1回、わたしと妹で、母のお話を、しっかり、すると、母が、わたしたちの中で、しっかり、生きている感覚が、確かに、あります。

母の物を、別記事(亡くなった父との対話、お墓参りで起きたこと)に書いた、父との対話に、近いものを、わたしも、感じています。

母は、亡くなった、けれど、わたしと妹の中で、ずっと、生き続けている。

その感覚が、お母さん記念日を、続けることで、毎年、強くなっています。

お母さん記念日の、3つのコツ

3年続けて、わたしが見つけた、続けるコツを、3つ、お伝えします。

コツ① 日付を、固定する

「11月の第3土曜日」と、固定すること。

これで、毎年、迷わず、予約できます。 夫にも、子どもにも、「この日は、姉妹だけで」と、最初に伝えておくと、理解してくれます。

コツ② 場所を、固定する

毎年、同じホテル。

これで、「あ、お母さん記念日が、近づいてきた」と、自然に、感じます。 そして、ホテルの方が、3年目から、わたしたちのことを、覚えてくれて、母の好きだった料理も、用意してくれます。

コツ③ 1泊2日が、ちょうどよい

短すぎても、長すぎても、続きません。 1泊2日の、22時間くらいが、ちょうどよい時間でした。

これくらいの時間で、母の話を、しっかり、できるし、お互いの体力も、保てます。

同じ立場の方へ

もし、いま、ご両親を亡くされて、実家を売却された、または、これから売却を、検討されている方が、いらっしゃるなら、申し上げたいことが、ひとつあります。

実家を売却して、「お父さん、お母さんと過ごす場所」が、なくなる、と、感じることが、あるかもしれません。

ですが、新しい「ご両親の場所」を、ご家族で、作ることが、できます。

わたしと妹の場合は、「お母さん記念日」、ホテルでの1泊2日。

ご家族によっては、「両親の好きだった海辺の宿に、年1回、姉妹で集まる」「両親と一緒に旅行した温泉に、毎年同じ日に行く」「両親のお墓参りの後、家族で食事会を必ずする」など、いろんなかたちが、あるかもしれません。

大事なのは、「日付」と「場所」と「過ごし方」を、ちゃんと、決めておくこと。

そうすると、毎年、その日が、近づくと、自然と、ご両親が、ご家族の真ん中に、戻ってきます。

物理的な実家は、なくても、心の中の「ご両親の場所」は、ご家族で、ちゃんと、作ることが、できます。

少なくとも、わたしと妹の場合は、できました。

さいごに

実家を、売却して3年。

物理的な実家は、もう、ありません。

ですが、わたしと妹は、毎年11月の第3土曜日、母と、ホテルで、過ごしています。

母が亡くなって、3年。 3回目の「お母さん記念日」が、もうすぐ、来ます。

今年も、母の写真を、テーブルに置いて、母の好きだった料理を、ふたりで、いただきます。

そして、母への手紙を、ふたりで、書きます。

これからも、ずっと、続けていきます。

なお、ご両親を亡くされたあとの、ご家族の年中行事は、ご家庭ごとに、本当に、違います。ご自分のペースで、ご両親との「新しい場所」を、見つけてみてください。

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