60代女性が3年使ってよかった、漢方薬3つの記録
62歳のとき、更年期後の不調で漢方を始めました。3年使い続けて、わたしには合っていると感じた3つの漢方薬を、漢方医に相談した経緯と、効いたと感じる症状、合わなかったケースもあわせてお伝えします。漢方は人によって合う・合わないが大きいので、必ず漢方医にご相談を。
62歳の春、わたしは、ある漢方医の方の本を読んで、漢方を始めました。
きっかけは、更年期が一段落したあとも、なんとなく続いていた不調でした。
朝起きたときの体の重さ。 夕方になると出る、足のむくみ。 ふいに襲う、強い疲労感。 夜中に目が覚めて、しばらく眠れない時間。
どれも、病院に行くほどではない。 でも、毎日少しずつ、わたしの暮らしを削っていく不調でした。
3年経った今、わたしは3種類の漢方を、状況に応じて使い分けています。
「漢方は数千年の歴史そのものがエビデンス」という言葉を、ある漢方医の方の本で読みました。
その通りで、わたしの3年間も、漢方の助けによって、ずいぶん変わりました。
この記事では、わたしが3年使ってよかった3つの漢方と、漢方医に相談した経緯、合わなかったケースもあわせてお伝えします。
重要なお断り:漢方は、人によって合う・合わないが大きい薬です。この記事は、わたし個人の体験で、医療判断ではありません。漢方を始めるときは、必ず漢方医、または漢方を扱う薬剤師さんにご相談ください。ご自分でネットなどから判断して購入することは、おやめください。
漢方を始めるきっかけ
62歳のとき、わたしはまず、近所の漢方クリニックに行きました。
「漢方クリニック」と看板に書いてあるところは、漢方薬の処方を専門にしている医師(漢方医)がいる病院です。健康保険が使えるところが多いです。
初診のとき、漢方医は、わたしの脈を取り、舌を見て、お腹を触って、いろいろ質問しました。
「朝、起きるのがつらいですか」 「足がむくむのは、何時ごろですか」 「お通じはどんな感じですか」 「夜の眠りはどうですか」 「体が冷えやすいですか、ほてりやすいですか」
合計で30分くらい話を聞いてくれて、漢方医は、わたしに、こう言いました。
「あなたは、典型的な『気虚』と『血虚』が混じった、60代女性によくあるタイプです」
漢方の言葉は、最初は分かりませんでしたが、要するに、
- 気虚: エネルギー(気)が足りない状態
- 血虚: 栄養(血)が足りていない状態
ということで、わたしには、その両方が混じっているそうでした。
そこから、わたしの3年間の漢方ライフが始まりました。
漢方① 加味帰脾湯(かみきひとう)
最初に処方されたのが、加味帰脾湯でした。
漢方医の説明では、こうでした。
「あなたの今のいちばんの不調は、夜眠りが浅いことだから、これを使いましょう」
加味帰脾湯は、夜の眠りが浅い、頭がぼーっとする、気持ちが沈みがち、という方によく使われる漢方だそうです。
公的な情報源では、こう説明されています。
体力中等度以下で、心身が疲れ、血色が悪く、ときに熱感を伴うものの次の諸症:貧血、不眠症、精神不安、神経症
(加味帰脾湯は医療用のみで、市販の一般用医薬品はありません)
毎食前、3包(ティーバッグみたいな小袋)を、お湯に溶かして飲みます。
最初の1週間は、何も変わりませんでした。 3週間目から、夜中の目覚めが、減っていることに気づきました。 1ヶ月目には、朝、すっと起きられるようになりました。
味は、ほんのり甘くて、わたしには飲みやすかったです。
加味帰脾湯は、2年使い続けたあと、「もう大丈夫」と漢方医に言われて、いまは休薬中です。
費用は、健康保険3割負担で、月に約1,500円でした。
漢方② 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
ふたつめは、当帰芍薬散です。
これは、加味帰脾湯と並行して、半年後から始めました。
漢方医の説明はこうでした。
「あなたの足のむくみと、なんとなくの疲労感は、『血のめぐり』と『水のめぐり』が悪いことから来ています。当帰芍薬散は、特に60代女性の体に、よくなじむお薬です」
当帰芍薬散は、女性の血のめぐりをよくする漢方として、本当に長い歴史があるそうです。

(出典: ツムラ漢方当帰芍薬散料エキス顆粒・公式商品ページ)
公的な情報源では、こう説明されています。
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭重、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴えるものの次の諸症:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、産前産後あるいは流産による障害、めまい、足腰の冷え症、しもやけ、むくみ
これも、毎食前に飲みます。
効果は、加味帰脾湯より少し早く感じました。 2週間目には、夕方の足のむくみが、明らかに減ったのです。 4週間目には、なんとなくあった疲労感が、ふっと軽くなりました。
味は、加味帰脾湯より少し苦みがあって、わたしは最初、苦手でした。 慣れるのに2週間くらいかかりました。
当帰芍薬散は、いまでも、足のむくみが気になる季節(春先と梅雨)に、漢方医の処方で1ヶ月だけ使うようにしています。
費用は、保険3割負担で、月に約1,800円でした。
漢方③ 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
3つめは、補中益気湯です。
これは、62歳から3年目に入った頃から、新しく加わったものでした。
きっかけは、夏の夏バテです。
毎年、8月になると、わたしは体力ががくっと落ちて、食欲も落ちて、ベッドにいる時間が増えていました。
漢方医に相談すると、「夏バテ対策に、補中益気湯を1ヶ月だけ使ってみましょう」と言われました。
補中益気湯は、いわゆる「気を補う」漢方で、体力が落ちている時、夏バテ、病後の回復、などに使われるそうです。

(出典: ツムラ漢方補中益気湯エキス顆粒・公式商品ページ)
公的な情報源では、こう説明されています。
体力虚弱で、元気がなく胃腸のはたらきが衰えて、疲れやすいものの次の諸症:虚弱体質、疲労倦怠、病後・術後の衰弱、食欲不振、ねあせ、感冒
これも、毎食前に飲みます。
夏バテの時期だけ飲むので、効果はわりとはっきり分かりました。 1週間目から、朝の食欲が戻り、2週間目には、お昼に外を歩く元気が戻りました。
味は、加味帰脾湯と似た、ほんのり甘い感じで、これは飲みやすかったです。
費用は、保険3割負担で、月に約1,400円でした。
わたしに合わなかった漢方も、ご紹介します
3年の漢方ライフの中で、わたしには合わなかった漢方も、2つありました。
ひとつは、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)です。
これは、ある時期、わたしの体に「のぼせ」が出てきたとき、漢方医に処方してもらいました。
ところが、わたしには合わなかったのか、飲み始めて1週間で、胃がムカムカするようになりました。
漢方医に相談すると、「合わないものを、無理に続けないほうがいいです。別の処方に変えましょう」と、すぐに別の漢方に切り替えてくれました。
もうひとつは、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)です。
これは、体重をやや落としたいときに、漢方医にお願いして処方してもらいました。
これも、わたしには合わなかったらしく、3週間で「お腹が緩くなりすぎる」という症状が出ました。
漢方医に相談して、すぐに中止しました。
漢方は、合う・合わないが、本当に大きいです。 ですが、漢方医に相談すれば、すぐに別の処方に変えてもらえます。 「合わなかったら、すぐ相談する」これが、漢方を安全に使う大事なコツです。
漢方医を選ぶ、わたしなりの3つのポイント
漢方医を選ぶときの、わたしなりのポイントが3つあります。
ひとつめは、「初診で30分以上、話を聞いてくれる」漢方医を選ぶことです。
漢方は、体の状態を細かく見て、初めて処方が決まります。5分の問診で漢方を処方する病院は、わたしの経験では、合いにくい処方になる傾向がありました。
ふたつめは、「保険が使える」漢方医を選ぶことです。
自費の漢方クリニックも多いですが、初心者には、保険が使える病院から始めるほうが、費用面でも安心です。
みっつめは、「合わなかったら、いつでも変えていい」と最初に伝えてくれる漢方医を選ぶことです。
「絶対この漢方しかない」と言い切る医師より、「合わなければ別を試しましょう」と柔軟な医師のほうが、結果的にわたしには合いました。
漢方は「西洋医学とのバランス」が大事
最後に、いちばん大事なことを、お伝えします。
漢方は、西洋医学の代わりではありません。
漢方医も、最初の問診で必ず、こう聞きます。
「ほかに、定期的に通っている病院はありますか」 「飲んでいる薬は、どんな薬ですか」
西洋医学で診てもらっている病気がある場合、漢方の処方は、それと組み合わせて決まります。
わたしも、内科で血圧の薬を飲んでいますが、漢方医はそれを把握した上で、相性のいい漢方を選んでくれました。
「漢方だけで全部治す」のではなく、「西洋医学と漢方を、両方使う」のが、いまの60代女性の健康管理には、いちばん合っていると、わたしは3年使って実感しています。
さいごに
漢方は、即効性があるものではありません。
ですが、毎日少しずつ、体の底のほうから整えてくれます。
62歳から始めて、65歳のいま、わたしは確かに「62歳の頃より元気」と言えます。
きっかけは、本屋で漢方医の本を1冊買ったことでした。 その本を読んで、近所の漢方クリニックに行ってみたのが、すべての始まりでした。
もし、いま、なんとなくの不調を抱えている60代の方がいらっしゃるなら、一度、お近くの漢方クリニックを探してみてください。
ただし、繰り返しになりますが、漢方は人によって合う・合わないが大きいです。必ず漢方医か、漢方を扱う薬剤師さんにご相談のうえで、お始めください。ネットや雑誌の情報だけでご自分で判断して購入することは、危険な場合がありますので、おやめください。
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