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60代の慢性腰痛、認知行動療法を3ヶ月試した記録

ヨバナシ編集部 読了 約7分

62歳から10年続いていた慢性腰痛が、認知行動療法を3ヶ月続けて、明らかに変わりました。痛みの強さが3割減り、夜の眠りが深くなり、何より『痛みへの不安』が減りました。整形外科と並行して受けた認知行動療法の中身、費用、効果を、66歳のわたしの実体験で正直にお伝えします。

慢性腰痛と10年つきあってきました。

62歳のとき、急に腰がギクッとなって、そこから腰痛持ちです。 整形外科に通って、湿布、痛み止め、リハビリ、注射、いろいろ試しました。 痛みは波があって、よくなる時期と、悪くなる時期を繰り返しました。

ところが、66歳のいま、わたしの腰痛は、明らかに「以前と違う状態」になりました。

きっかけは、半年前、整形外科の医師から勧められた「認知行動療法」というアプローチでした。

3ヶ月続けて、痛みの強さが3割減り、夜の眠りが深くなり、何より「痛みへの不安」が減りました。

この記事では、66歳のわたしが3ヶ月、認知行動療法を続けた記録を、正直にお伝えします。

重要なお断り:この記事は個人の体験で、医療判断ではありません。慢性痛の原因は人によって大きく異なるので、ご自分のケースは、必ず整形外科や心療内科などの医療機関にご相談ください。

認知行動療法とは(60代向けに簡単に)

認知行動療法という言葉、わたしも最初は何のことか、分かりませんでした。

ごく簡単に言うと、「痛みへの『考え方』『反応のしかた』を、少しずつ整えていく心理療法」だと、医師に説明されました。

公的な情報源では、こう案内されています。

慢性疼痛に対する認知行動療法は、痛みに対する不適応な思考、感情、行動を修正することにより、痛みの管理を改善する治療法である

厚生労働省「慢性疼痛診療ガイドライン」関連情報(J-STAGE)

ポイントは「痛みそのもの」ではなく、「痛みへの考え方や反応」を変えていく、という点です。

最初、わたしは「気のせいだと言われたみたいで、ちょっと嫌だな」と感じました。

ところが、3ヶ月やってみて、いまでは「痛みは脳と心と体の総合で生まれる」という説明に、深く納得しています。

わたしが認知行動療法を始めたきっかけ

65歳の冬、整形外科の医師に、こう言われました。

「腰の画像を見るかぎり、年齢相応の変化はありますが、痛みがこれほど強く出る所見ではないんです。10年も慢性化していることを考えると、痛みへの脳の反応の問題があるかもしれません」

そして、心療内科を紹介してくれました。

「ちょっと違う角度から、腰痛を診てもらいませんか」と。

正直、心療内科に行くのは、勇気が必要でした。 「腰の痛みを、心の問題として扱われるのは、嫌だな」と感じたからです。

ですが、10年つきあってきた腰痛が、本当につらかった。

紹介状を受け取って、心療内科の予約を取りました。

心療内科で受けた、最初の問診

最初の問診は、1時間でした。

普通の整形外科の3分問診とはまったく違う、長い問診でした。

聞かれたことを、覚えている範囲で書きます。

  • いつから腰痛が始まったか
  • どんな時に、痛みが強くなるか
  • どんな時に、痛みが弱くなるか
  • 痛みのとき、どんな気持ちになるか
  • 痛みのとき、何を考えるか
  • 痛みのとき、何をしてしまうか
  • 夜の眠りは、どうか
  • 1日のうち、どの時間帯がいちばんつらいか
  • 家族との関係は、どうか
  • 仕事や家事を、どのくらい休んでいるか

最後の2つは、わたしには意外な質問でした。 家族との関係や、家事を休んでいるかが、腰痛と関係があるなんて、考えたことがなかったからです。

医師は、こう説明してくれました。

「慢性痛は、痛みそのものより、痛みのせいで起きる『生活の縮こまり』が、つらさを増幅させることがあります。痛みを良くするには、生活全体を、少し動かす必要があるんです」

その日から、わたしの認知行動療法が始まりました。

認知行動療法、3ヶ月の中身

3ヶ月、わたしは月2回(隔週)、心療内科に通いました。 1回50分のセッションでした。

セッションのなかで、わたしが取り組んだのは、こんなことでした。

第1ヶ月: 「痛み日記」をつける

最初の1ヶ月、毎日、痛み日記をつけました。

A5の小さなノートに、1日4回(朝・昼・夕・夜)、こう書きます。

  • 今の痛みの強さ(10点満点で)
  • 何をしているとき(例: 朝の家事、テレビを見ているとき)
  • どんな気持ち(例: 不安、イライラ、リラックス)
  • 直前に何を考えたか(例: 「また痛くなるかも」)

1ヶ月続けると、自分の痛みに「パターン」があることが、見えてきました。

わたしの場合、夕方4時から夜8時のあいだ、特に痛みが強くなっていました。 そして、その時間帯、わたしは「夕食の支度をしながら、夫の帰りを気にしている」状態でした。

つまり、わたしの腰痛は、夕方の「家事プレッシャー」と連動していたのです。

これは、自分でも驚きでした。 痛みは「腰の問題」だと、ずっと思っていたのに、「心の状態」とつながっていたのです。

第2ヶ月: 「痛みのときの考え」を書き換える

2ヶ月目から、医師と一緒に、「痛みのときの考え」を、ひとつずつ書き換えていきました。

たとえば、わたしは痛みが出ると、こう考えていました。

「また痛くなった。一生治らない。動けなくなったらどうしよう」

これを、こんなふうに、書き換えていきました。

「いま痛みが出てる。でも、いつもよりは少し軽い。今日は少し横になってから、夕食を作ろう」

医師には、こう言われました。

「『一生治らない』は事実ではないので、書き換えてみましょう。『今は痛みがあるが、波がある』が事実です」

これを、毎回の痛みのときに、ノートに書きました。

書くだけで、痛みの感じ方が、不思議なくらい、少し軽くなりました。

「痛みへの不安」が、痛みそのものを強くしていたのです。

第3ヶ月: 「やめていた行動」をひとつずつ戻す

3ヶ月目、わたしは、腰痛のせいで「やめていた行動」を、ひとつずつ戻していきました。

10年のあいだに、わたしがやめていたことが、こんなにありました。

  • 月1回の友人との外食(腰が痛くなるのが怖くて断っていた)
  • 週末の夫との散歩(歩くと痛くなる気がしてやめていた)
  • 床に座ること(痛くなりそうで椅子しか使わなかった)
  • 旅行(長時間移動が怖くて、もう3年行っていなかった)

医師と相談しながら、「いちばんハードルが低いもの」から、ひとつずつ戻していきました。

まず、夫との散歩を、週末1回、15分だけ復活。 2週間続けたあと、30分に伸ばす。 1ヶ月で、痛みなく1時間歩けるようになりました。

次に、月1回の友人との外食を、復活。 最初は不安で、当日の朝、ドキドキしました。 ですが、実際に行ってみると、4時間外出しても、ほとんど痛みは出ませんでした。

「痛みが出ると思っていたから、出なかったことに気づけなかった」のだと、3ヶ月目に分かりました。

3ヶ月後の、わたしの腰痛

3ヶ月後、わたしの腰痛は、こう変わりました。

  • 痛みの平均強さ: 10点満点で「6」→「4」(3割減)
  • 夜の眠り: 3時間で目が覚めていた→6時間連続で眠れる
  • 1日のうち、痛みなく過ごせる時間: 2時間→8時間
  • 「痛みへの不安」: 強→弱(自分で実感できるほど減った)

痛みがゼロになったわけでは、ありません。 いまも、夕方の家事のときは、少し痛みます。

ですが、「痛みがあっても、生活ができる」状態になったのです。

10年間、痛みのせいで諦めていたことが、3ヶ月でいくつも復活しました。

費用と通院頻度

参考までに、費用と通院についてお伝えします。

心療内科の認知行動療法は、健康保険が適用されました(2026年5月時点、わたしの場合)。

  • 初診: 約3,000円(3割負担)
  • 再診(50分セッション): 約1,500円〜2,000円(3割負担)
  • 通院頻度: 隔週(月2回)
  • 期間: 3ヶ月で6回
  • 合計費用: 約12,000円

健康保険が適用される条件は、医療機関や状況によって異なるそうです。 受診前に、必ず医療機関にご確認ください。

整形外科と並行して通った理由

認知行動療法を始めても、整形外科の通院は、やめませんでした。

理由は、こうです。

「身体の所見も、ちゃんと診てもらう必要がある」と、両方の医師から言われたからです。

慢性腰痛は、身体の問題と、心の問題の、両方が絡んでいることが多い、と教わりました。

整形外科で、月1回、レントゲンや状態確認。 心療内科で、月2回、認知行動療法。

両方を並行することで、わたしの腰痛は、ようやく整いました。

「心」だけでも、「身体」だけでも、たぶん、ここまで良くならなかったと感じています。

認知行動療法、向いている方・向かない方

3ヶ月やってみて、認知行動療法が向いている方と、向かない方が、ある程度、見えてきました。

向いている方の特徴(わたしの場合の経験から):

  • 慢性化した痛みで、整形外科の治療だけでは改善しなくなっている
  • 痛みのときに「不安」「焦り」「絶望」を強く感じる
  • 痛みのせいで、生活でやめていることがいくつもある
  • 自分で記録をつけることが、苦にならない

向かない可能性がある方:

  • 急性の痛みで、まだ原因の特定が終わっていない方
  • 「書く」「振り返る」「自分の気持ちを言語化する」が苦痛な方
  • 整形外科でまだ十分な治療を受けていない方(まずそちらが優先)

これは、わたしの経験での目安であって、医師と相談して決めてください。

60代から始める、ひとつの選択肢

慢性腰痛は、60代以降に増える症状のひとつです。

そして、整形外科の治療だけでは、なかなか良くならない方も、いらっしゃると思います。

認知行動療法は、まだ日本では、整形外科の標準治療ではありません。 ですから、知らない方も多いです。

ですが、3ヶ月やってみたわたしから、お伝えしたいのは、「もうひとつのアプローチが、あるかもしれない」ということです。

10年つきあった腰痛が、3ヶ月で「明らかに違う状態」になった経験を、同じく長く腰痛を抱える方に、ひとつの参考としてお伝えしたいのです。

ご自分が当てはまるかどうかは、まず、いまの整形外科の医師に、こう聞いてみてください。

「慢性腰痛で、認知行動療法も検討したいのですが、どこかご紹介いただけますか」

紹介してくれる医師もいれば、「うちでは扱っていないので、お近くの心療内科で」と教えてくれる医師もいるそうです。

最初の一歩は、整形外科への相談から、です。

なお、繰り返しになりますが、この記事は個人の体験です。慢性痛の原因と治療法は人によって大きく違いますので、必ず医療機関にご相談のうえで、お試しください。

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