相続税の節税、税理士に相談してわかった60代向けの3つ
65歳のわたしが、母の終活を機に、地元の税理士に2回相談したときに、教えていただいた『60代がいまから取り組める節税の3つの基本』を、整理してお伝えします。生前贈与、生命保険の非課税枠、配偶者控除。専門家相談の入り方も、初心者向けに書きました。
65歳のわたしは、去年、地元の税理士事務所に、2回相談に行きました。
きっかけは、85歳の母の終活を、わたしが手伝うようになったこと。 そして、母の財産が、相続税のかかる金額に「ちょうど届くか、届かないかの境目」にあると、気づいたことです。
母も、わたしも、相続税の知識は、ほぼゼロでした。
「税理士なんて、富裕層が頼むもの」と思っていました。 ですが、調べてみると、町の税理士事務所では、初回相談無料、または5,000円程度で、専門家の助言が受けられると分かりました。
2回の相談で、税理士の先生が、わたしに教えてくれた「60代がいまから取り組める節税の3つの基本」を、整理して、お伝えします。
重要なお断り:相続税の節税は、ご家庭の状況、財産の種類、家族構成によって、まったく違います。この記事は税理士からの一般論をもとにした内容で、具体的な対策は、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
まず、相続税がかかるのか、どうか
最初に、税理士の先生から、こう言われました。
「相続税は、基礎控除以下なら、そもそも、かからないんです。まず、それを確認しましょう」
公的な情報源では、こう案内されています。
相続税の基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)
たとえば、相続人が3人(配偶者+子ども2人)の場合: 基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 3) = 4,800万円
つまり、亡くなった方の財産が4,800万円以下なら、相続税は、そもそも、かかりません。
母の場合、相続人はわたしと弟の2人で、基礎控除は4,200万円。 母の総財産は、ざっと計算して4,500万円。
「ぎりぎり、基礎控除を超える」状態でした。
つまり、何もしないと、超えた300万円に対して、相続税がかかる可能性がありました。
「ここから、節税できる方法を、3つお話ししますね」と、税理士の先生が言ってくれました。
節税の基本① 生前贈与(暦年贈与)
ひとつめは、生前贈与です。
公的な情報源では、こう案内されています。
1人が1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下の場合は、贈与税はかかりません
つまり、母から、わたしと弟に、それぞれ年110万円までの贈与は、贈与税がかかりません。
これを毎年続けると、母の財産は、年220万円ずつ減っていきます。
10年続ければ、2,200万円。 そうすると、母の財産が、相続税の基礎控除以下に、しっかり収まります。
ただし、注意点がいくつかあるそうです。
注意① 7年以内の贈与は、相続財産に持ち戻される
2024年からの新ルールで、相続開始前7年以内の贈与は、相続財産に「持ち戻して」相続税の計算をすることになりました。
つまり、母が亡くなる7年前以内に贈与した分は、相続税の計算上、ぜんぶ戻されて計算される、ということです。
母が88歳になった今、もう7年早く始めればよかった、と少し悔やみました。 ですが、税理士の先生は、こう言ってくれました。
「7年以内の持ち戻しがあっても、それまでに進めた贈与は、相続税の対象になるだけで、贈与税自体は無税のままです。何もしないより、ずっとマシです。今から始めるべきです」
注意② 名義預金にならないように
「名義預金」というのは、お母さん名義の口座から子どもの口座にお金を移しても、実質的にお母さんが管理しているお金、と判定されると、贈与が成立していない、と見なされることだそうです。
防ぐためには、こうすると教わりました。
- 贈与のたびに「贈与契約書」を作る(税理士事務所で雛形をもらえます)
- 子ども本人が、自分名義の口座を管理する(通帳と印鑑は子どもが持つ)
- 必要に応じて、贈与税の申告をする(110万円以下なら無税だが、110万円ちょうどではなく111万円贈与して申告書を出すと、贈与の証拠になる)
これは、最初に税理士の先生から教わったときは、難しく感じました。 ですが、雛形通りに書類を作るだけなら、母とわたしで、月1回のことなので、続けられそうです。
節税の基本② 生命保険の非課税枠
ふたつめは、生命保険の活用です。
公的な情報源では、こう案内されています。
死亡保険金は、相続人1人につき500万円までは非課税
— 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
たとえば、相続人が2人(わたしと弟)なら、500万円 × 2 = 1,000万円までの死亡保険金が、非課税です。
母の場合、もし母を契約者・被保険者として、相続人を受取人とする1,000万円の終身保険に入れば、その1,000万円は、相続税の計算から外れます。
これは、母の総財産から、実質1,000万円減らす効果があるのです。
ただし、注意点もあるそうです。
注意: 88歳の母が、新規で入れる保険は限られる
母は、いま88歳です。 高齢になると、新規で入れる保険は、ほとんどありません。 入れたとしても、保険料が、保険金とほぼ同じになる(つまり、節税効果が薄れる)場合が多いそうです。
税理士の先生は、こう言ってくれました。
「お母様の年齢では、生命保険の新規加入は、難しいです。ご自身(由紀子さん)の老後資金対策としては、有効ですが、お母様の節税としては、もう、選択肢になりにくいです」
ということで、母の節税では、これは使えませんでした。 ただ、わたし自身(65歳)が、自分の老後と相続のために、終身保険に入る検討は、いま、しています。
60代の方は、まだ、生命保険の選択肢があります。 65歳前後で、500万円の終身保険に入っておくと、将来の相続で、子どもにとっての非課税枠が活かせます。
節税の基本③ 配偶者控除
3つめは、配偶者がいる場合の話です。
公的な情報源では、こう案内されています。
配偶者が相続した遺産のうち、1億6,000万円までは相続税がかからない。または、法定相続分以下なら、いくらでも非課税
これは、すごく大きな控除です。
たとえば、ご主人が亡くなって、奥さまが財産を相続する場合、1億6,000万円までは、相続税が、まったくかかりません。
ただし、注意点があります。
注意: 2次相続(配偶者が亡くなった時)に、税負担が来る
配偶者控除で1次相続(夫が亡くなった時)の税負担を軽くしても、配偶者がそのあと亡くなった時(2次相続)に、子どもへの相続税が、ぐっと増えることがあります。
税理士の先生は、こう言いました。
「配偶者控除を、目一杯使うのが、必ずしも、お得とは限らないんです。1次相続で、配偶者が遺産を受け取りすぎると、2次相続で、子どもたちにかかる税金が、もっと増えることがあるんです」
具体的にどう分けるべきかは、家族構成や財産の種類で、個別に計算が必要だそうです。
これは、わたしと夫の場合、いまから準備する話です。 わたしと夫の合計財産は、相続税の基礎控除を、わずかに超えるか超えないか、くらいです。 夫が先に亡くなった場合、わたしが全額を相続するか、子どもにも一部を相続させるか、税理士と相談しながら、判断する必要があります。
税理士に相談する、3つのコツ
ここまで読んで「税理士に相談したい」と思った方に、3つのコツをお伝えします。
ひとつめ: 「無料相談」を探す
町の税理士事務所の多くは、初回30分〜1時間の無料相談を、提供しています。 ホームページや、電話で「初回相談、無料ですか?」と聞いてみてください。
無料相談で、自分のケースが、税理士に頼む価値があるかどうかを、判断できます。
ふたつめ: 持ち物リストを、準備する
無料相談に行くときは、以下を持っていくと、話がスムーズです。
- 親の財産の概要(銀行口座の残高、不動産の固定資産税の納税通知書、保険証券)
- 家族構成(相続人の人数と関係)
- 親のおおよその年齢と健康状態
- 自分が知りたい質問のリスト(例: 「節税はできますか」「相続税はかかりますか」)
これだけ持っていけば、税理士の先生は、その場で、具体的な助言をしてくれます。
みっつめ: 「複数の税理士」に聞く
可能なら、2人以上の税理士に、無料相談してみてください。 意見が、異なる場合があります。
わたしも、2人の税理士に相談しました。 1人は「贈与を中心に」、もう1人は「生命保険を中心に」と、勧めるアプローチが違いました。
最終的に、わたしは1人目の税理士の方が、わたしの母の状況に合っていると感じたので、その方に、引き続きお願いすることにしました。
複数に聞くことで、自分の判断軸が、見えてきます。
60代の今、できること
相続税の節税は、急いだほうが、必ず、有利です。
理由は、こうです。
- 生前贈与は、毎年続けるほど、効果が積み上がる
- 生命保険は、若いほど、加入しやすく、保険料も安い
- 配偶者控除の活用も、夫婦で話し合う時間が、長いほどよい
ですから、60代の今、税理士に1回でも相談に行くこと、を強くお勧めします。
無料相談なら、お金もかかりません。 家族で話し合うきっかけにも、なります。
「税理士なんて、自分には関係ない」は、たぶん、思い込みです。
うちのように、財産が「ぎりぎり基礎控除を超える」家庭は、たくさんあります。 そして、そういう家庭こそ、節税の効果が、はっきり出ます。
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さいごに
65歳のわたしが、税理士に2回相談して、母の相続税の試算が、ぐっと明確になりました。 そして、わたしと弟が、これから10年かけて、母から年220万円ずつ贈与を受けることで、母の財産は、ほぼ間違いなく、相続税の基礎控除以下に収まる、計算になりました。
これだけで、母が亡くなったときに、相続税で揉める可能性が、ほぼゼロになります。
それは、母と、わたしと、弟にとって、本当に、ありがたいことです。
税理士に相談する勇気が、結果として、家族の将来を、ずっと楽にしてくれた。
これが、65歳のわたしが、相続税を学んで、いちばん感じたことでした。
なお、繰り返しになりますが、相続税の節税は、ご家庭ごとに違います。具体的な対策は、必ず税理士、または税務署などの公的な相談窓口にご相談ください。
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