相続トラブルを未然に防ぐ、家族会議の3つのルール
65歳のわたしは、88歳の母が元気なうちに、わたしと弟と母の3人で、年1回の家族会議を開いています。3年続けて、相続をめぐるトラブルを、未然に防ぐコツが、見えてきました。話し合いの3つのルール、家族会議の進め方、避けるべき話題まで、具体的にお伝えします。
別記事(相続争いで姉妹がもう会わなくなった、隣の家の話を聞いて)に書いた、わたしの実家の隣の、3姉妹の話。
母が亡くなったあと、相続を巡って、3姉妹が、10年、口を聞かなくなった、というあの話を、隣で見てきたわたしは、自分の家族では、絶対に、同じことを、起こしたくないと、思いました。
そこで、3年前から、わたしと、弟と、母(88歳)の3人で、年に1回、家族会議を、開いています。
3年続けて、相続をめぐるトラブルを、未然に、防ぐコツが、見えてきました。
この記事では、わたしたちが、家族会議で、守っている、3つのルールと、進め方を、お伝えします。
「親が元気なうちに、相続のことを、家族で話し合いたい」と、思っている方に、ひとつの参考として、お読みいただければと思います。
お断り:この記事は、わたし個人の体験です。相続に関する判断や手続きは、ご家庭ごとに違います。具体的なご相談は、必ず弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご相談ください。
家族会議の、基本のかたち
最初に、わたしたちの家族会議の、基本のかたちを、お伝えします。
開催日
毎年、8月のお盆休みの、初日。 日付: 8月13日(母の家で、午後2時から、5時まで)
場所
母の家のリビング。 3年、同じ場所、同じ時間に、続けています。
参加者
- 母(88歳、家計の主)
- わたし(65歳、母の長女)
- 弟(63歳、母の長男)
- ケアマネジャーさん(午後2時から3時の1時間だけ、参加)
ケアマネさんに、最初の1時間、参加していただくのは、母の介護の状況を、3人で、共有するため、です。
用意するもの
- 母の通帳と、銀行のキャッシュカード
- 母の不動産の権利証
- 母の保険証券(医療保険、生命保険)
- 母のエンディングノート
- A4の紙とペン(議事録を作るため)
- お茶とお菓子
家族会議で、守っている、3つのルール
3年続けて、わたしたちが、見つけた、3つのルールを、お伝えします。
ルール① 「決めるのは、お母さん」を、最初に確認
最初の30分は、必ず、こう、確認します。
「お母さん、今日の会議は、ぜんぶ、最終的に、お母さんが決めます。わたしと弟は、相談に乗るけど、決定権は、お母さんにあります」
これは、相続のことで、母の自尊心を、守るために、いちばん大事な、ルールです。
母が、「子どもが、勝手に決めようとしている」と、感じると、母は、防御的に、なります。 そして、本音の話し合いが、できなくなります。
「決めるのは、お母さん」と、最初に確認することで、母は、安心して、本音を、話してくれます。
ルール② 「お金の話」より「気持ちの話」を、先に
3年で、わたしが気づいた、いちばん大事なルールです。
家族会議の最初の1時間、お金の話を、しません。
代わりに、こんなことを、話します。
- 母が、これからの暮らしで、いちばん大事だと思っていること
- 母が、亡くなったあと、わたしと弟に、どんな関係でいてほしいか
- 母が、自分の人生で、いちばん満足していること、後悔していること
- 母が、わたしと弟に、伝えたいこと
これらを、ゆっくり、聞きます。
お金の話は、後半1時間。
「気持ちの話」を、先に、することで、お金の話が、ずっと、円滑に、進みます。
母も、「子どもが、自分のお金だけを、見ている」とは、感じません。 「子どもが、自分の気持ちを、ちゃんと、知ろうとしてくれている」と、感じてくれます。
ルール③ 「議事録」を、必ず、作って、3人でサイン
3つめのルールが、これも、本当に、大事でした。
会議の最後の30分、A4の紙に、その日決まったことを、ぜんぶ、書き出します。
- 母が、決めたこと
- わたしと弟が、お母さんから、受け取った、お母さんの希望
- 来年までに、わたしと弟が、するべきこと
これを、3人で、確認して、3人で、サインします。
そして、コピーを、3人それぞれが、持ち帰ります。
これがあるから、1年後の会議で、「去年、何を、話したか」が、ぜんぶ、はっきり、分かります。
別記事(介護をめぐる兄夫婦との合意、書面に残した話と書き方)にも書いた、書面化の重要性。 家族会議にも、同じ方法を、取り入れています。
家族会議で、話す内容(8項目)
3時間の家族会議で、わたしたちが、毎年、話す内容を、整理します。
1. 母のケアプランの確認(ケアマネさんと、1時間)
- 母の介護度の最新情報
- 来年のケアプランの変更点
- 訪問介護、デイサービスの利用状況
2. 母の気持ちの話(30分)
- これからの暮らしで、大事にしたいこと
- 自分の人生で、振り返って思うこと
- わたしと弟への、メッセージ
3. 母の財産の現状(30分)
- 銀行口座の残高(2口座)
- 不動産の現状
- 保険の契約内容
4. 母の希望(30分)
- 施設入居になった場合の、希望する施設
- 終末期医療の希望
- 葬儀の希望
- お墓の希望
5. 相続の取り扱い(30分)
- 母の遺言の準備状況(いまは、エンディングノート)
- 子ども2人(わたしと弟)への、財産の分け方の希望
- 母の介護費用に、いくらかかっているかの確認
6. 来年までの、わたしと弟の宿題
- 母のために、わたしと弟が、すること
- 来年の会議までに、確認・整理することのリスト
7. その他
- 母から、何か、新しい話があれば
8. 議事録の作成と、サイン
これで、3時間、ぴったり、です。
家族会議で、避けている、3つの話題
3年やって、わたしたちが、避けている話題も、3つ、お伝えします。
避ける① 「兄弟の比較」の話
「お兄ちゃんは、お母さんに、もっと、来てもらいたいって、思ってるよね」 「妹は、お母さんから、もう少し、何か、もらいたいんじゃない?」
兄弟を、比較する話は、絶対に、しません。
これを始めると、家族会議は、必ず、揉めます。
避ける② 「お父さんの話」(亡くなった父)
亡くなった父の話を、家族会議で、深く、しません。
父の話は、別の機会(お墓参りなど)で、ゆっくり、します。
家族会議は、これからの、母とわたしと弟のための時間、と、決めています。
避ける③ 「悪い情報」を、急に出す
たとえば、わたしの体調が、悪くなっていることや、弟の家族の問題など。
これらを、家族会議で、急に、出すのは、避けます。
家族会議は、母を中心に、進める時間。 わたしや、弟の個人的な問題は、別の機会で、母に、話します。
3年で、わたしたち家族に、起きた変化
家族会議を、3年続けて、わたしたち家族に、起きた変化を、お伝えします。
変化① 兄弟間の信頼が、深まった
弟と、わたしは、結婚してから、別々の暮らしを、しています。 家族会議が、なければ、弟と、1年に1〜2回、お盆と正月に、軽く会うだけ、でした。
家族会議で、年に1回、3時間、母のために、いっしょに、話し合う。
これで、弟と、わたしの信頼が、深まりました。
「いっしょに、母を、支えている」という、共通の意識が、生まれます。
変化② 母の安心感が、深まった
母は、最初、家族会議に、戸惑っていました。 「相続の話を、するの?」と、警戒されていました。
ですが、3年続けて、母は、家族会議を、楽しみに、してくれるように、なりました。
「あんたと、お兄ちゃんと、3人で、ゆっくり、話せる、年に1回の機会」
母にとって、これが、いちばんの、安心感の元、と、感じています。
変化③ 相続のことが、ぼんやり、見えてきた
最初の年は、母の財産も、母の希望も、ぼんやり、していました。
ですが、3年経って、母の希望と、財産の分け方の方針が、ぼんやり、見えてきました。
母が亡くなった後、わたしと弟が、揉める要素が、ほぼ、なくなりました。
これが、隣の3姉妹のような、相続トラブルを、未然に防ぐ、いちばんのコツだ、と、わたしは、思っています。
公的な情報(参考)
家族での話し合いや、相続の準備について、公的な情報源では、こう案内されています。
円滑な相続のためには、被相続人が元気なうちに、家族との話し合いや、遺言書の作成を、検討することが大切
家族会議で話し合った内容を、母が、エンディングノートや、遺言書に、書き残してくれれば、ぐっと、確実な準備に、なります。
さいごに
相続トラブルは、亡くなったあとに、始まるのでは、ありません。
親が、元気なうちに、家族で、ちゃんと、話し合っていないことが、原因で、起こります。
毎年、年に1回、3時間、家族で、母を、中心に、話し合う。
これだけで、相続トラブルが、未然に、防げます。
少なくとも、わたしたち、母とわたしと弟の家族では、3年で、トラブルの種が、ほぼ、なくなりました。
「親が、元気なうちに、家族会議をしたい」と、思っている方に、3つのルールを、ぜひ、参考に、していただければと思います。
- 決めるのは、お母さん(お父さん)を、最初に確認
- お金の話より、気持ちの話を、先に
- 議事録を作って、3人でサイン
これだけで、家族会議が、ぐっと、機能します。
なお、繰り返しになりますが、相続に関する判断や手続きは、必ず弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご相談ください。
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