新NISAを65歳から始めて1年、本当にやってよかったか
65歳のわたしが、退職金の一部で新NISAを1年前から始めました。月3万円のつみたて、商品の選び方、夫の反対、含み損が出た2024年秋、1年後の今思うこと。投資未経験の60代女性が、新NISAを始めるかどうかの判断材料になればと、正直に書きます。
65歳のわたしが、新NISAを始めて、1年が経ちました。
きっかけは、夫の退職金の一部を、銀行の普通預金に置いておくのが、なんとなくもったいないと感じたことでした。
銀行の利息は、ほぼゼロ。 物価は、毎月のように、少しずつ上がる。 このままだと、貯金の実質的な価値が、年々下がっていく。
そんな感覚が、64歳の終わりに、はっきりしてきたのです。
これは、わたしが新NISAを1年やってみた、正直な記録です。
重要なお断り:この記事は個人の体験で、投資の助言ではありません。投資には元本割れのリスクがあり、結果は人によってまったく異なります。実際に始める前には、必ず信頼できる金融機関の方や、ファイナンシャルプランナーにご相談ください。
新NISAとは(60代向けに簡単に)
まず、新NISAについて、60代の方向けに、ごく簡単に整理します。
新NISA(2024年1月から始まった新しい制度)は、一定の枠の中で投資をすると、その利益にかかる税金が、ずっとゼロになる制度です。
普通、投資で得た利益には、約20%の税金がかかります。10万円の利益が出ても、約2万円は税金で持っていかれます。
新NISAの枠の中なら、この税金が、まるごと、かかりません。
公的な情報源では、こう案内されています。
NISAは、個人投資家のための税制優遇制度です。NISA口座(非課税口座)内で、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になります
つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円。 合わせて、生涯1,800万円までが上限です。
60代から始めるなら、ほとんどの方は、生涯上限まで使うことはありません。 ですから、上限はあまり気にしなくて大丈夫です。
65歳のわたしが、月3万円から始めた理由
わたしが選んだのは、「つみたて投資枠」で、毎月3万円。
なぜ3万円だったか、3つの理由があります。
ひとつめは、年金から出せる範囲だったこと。 わたしと夫の年金は、合わせて月23万円。生活費が約17万円。残り6万円のうち、半分の3万円を、新NISAに回すことにしました。
ふたつめは、もし全額なくなっても、生活に困らない金額だったこと。 1年で36万円、5年で180万円。これがすべて消えても、わたしと夫の老後が崩れない金額に抑えました。
みっつめは、月3万円なら、毎月の家計の中で、無理なく続けられること。 最初に大金を入れるのではなく、毎月少しずつ買っていく。それが、投資未経験者には、いちばん安全だと、本で読みました。
どの商品を選んだか
選んだ商品は、ひとつだけです。
「全世界株式インデックスファンド」というジャンルの、信託報酬が低い商品を、1本だけ買い続けています。
なぜ1本だけ、なぜ全世界株式か、3つの理由があります。
ひとつめは、複雑な商品を、60代になって学ぶ余裕がなかったから。 個別株や、複雑な金融商品は、勉強コストが大きいです。「全世界の株式に少しずつ投資する」というだけのシンプルな商品なら、わたしでも理解できました。
ふたつめは、本やニュースで、いちばん勧められていたから。 新NISA初心者向けの本を3冊読みましたが、3冊とも「インデックスファンドを長く持つ」と書いてありました。たくさんの本が同じことを言っているなら、それがいちばん無難だろうと判断しました。
みっつめは、信託報酬(運用してもらうための手数料)が、極めて低かったから。 わたしが買った商品の信託報酬は、年0.06%ほど。100万円預けても、年600円しか手数料がかかりません。これくらい低ければ、1年や10年では、ほとんど気になりません。
1年経って、いくらになったか
ここからは、わたしの本当の数字を書きます。
1年で投資した金額: 36万円(月3万円×12ヶ月) 1年後の評価額: 39万8,000円(2026年5月時点) 含み益: +3万8,000円(プラス約10.6%)
これだけ書くと「儲かった」ように見えますが、1年のあいだは、ずっと右肩上がりではありませんでした。
2024年の秋、世界の株式市場が大きく下げた時期があって、わたしの口座も、一時、含み損(マイナス)になりました。
最大で、マイナス2万8,000円。 12月の半ば、評価額が33万円になった日があって、その日は本当に怖かったです。
夫に「やっぱりやめておけばよかった」と、何度も言いそうになりました。
ただ、本にも、銀行で相談した方にも、「インデックスファンドは長く持つ」と言われていたので、何もしないで、毎月3万円を買い続けました。
2025年の春から、株式市場が落ち着いて、徐々に戻り、いまの+3万8,000円(プラス10.6%)に着地しています。
1年で気づいた、新NISAの「いいこと」3つ
1年使ってみて、わたしが「やってよかった」と感じた点が、3つあります。
ひとつめは、お金のニュースに、急に興味が出たこと。 それまで、わたしは経済ニュースをスルーしていました。新NISAを始めてから、日経平均、米国株、為替の話を、夫と話すようになりました。話題が増えました。
ふたつめは、月3万円で「未来への小さな投資」をしている感覚。 ただ預金を眺めているのと、毎月3万円ずつ世界の株を買っているのは、心の感覚が違います。「老後の暮らしが、ちょっとずつ未来に育っているかも」という小さな希望が、毎月入ってくる感じです。
みっつめは、夫との会話が増えたこと。 夫も、わたしの新NISAに最初は反対していましたが、いまは「今月いくらになった?」と聞いてくれます。お金の話は、夫婦の会話のひとつとして、自然になりました。
1年で気づいた、新NISAの「困ったこと」3つ
正直に、困ったことも3つ、書きます。
ひとつめは、含み損が出た日の、精神的なつらさ。 2024年12月の含み損は、本当につらかったです。「老後の貯金が消えていく」気がしました。投資に向く性格と、向かない性格があると、本当に思いました。
ふたつめは、「もっと早く始めればよかった」と思ってしまうこと。 40代、50代から始めていれば、もっと長く投資できたのに、と、ふと考えてしまいます。ただ、それは「いま」の選択を否定する考えなので、なるべく忘れるようにしています。
みっつめは、夫が「もっと買おう」と言い始めたこと。 1年で+10%だったから、夫が「月5万円に増やそう」と言い始めました。これは、わたしが断っています。月3万円が、わたしの「生活に響かない上限」だからです。儲かったときほど、追加投資の誘惑が強くなる、と本に書いてありました。気をつけたい点です。
60代から新NISAを始める、3つの注意点
これから60代で新NISAを始める方に、わたしが1年で気づいた注意点を、3つだけ。
ひとつめは、「短期で売買しない」と最初に決めること。 新NISAは、長く持つほどメリットが大きい制度です。1〜2年で売り買いを繰り返すと、税優遇のメリットがなくなります。最低5年、できれば10年は触らない、と最初に決めてから始めるのが大事です。
ふたつめは、「生活費に影響しない金額」だけ投資すること。 月3万円のように、なくなっても生活が崩れない金額だけにする。借金して投資する、退職金を全額入れる、これは絶対にやめておくべきです。
みっつめは、「相場が下がっても、続ける」と最初に決めること。 1年に1回くらい、株式市場は大きく下がります。下がったときに売ると、その下がりが確定します。下がっても何もしない、と決めておくと、長期投資が成り立ちます。
NISA以外の老後資金、わたしの分配
参考までに、わたしの老後資金の分配を、ざっくりお伝えします。
- 普通預金(生活費6ヶ月分): 約100万円
- 定期預金(緊急用): 約300万円
- 個人年金(満期前): 約500万円
- 新NISA(つみたて): 約40万円(1年経過時点)
- その他: 持ち家、夫の小さな退職金の残り
つまり、わたしの全資産のうち、新NISAは、5%以下です。
これくらいの割合なら、もし全額なくなっても、わたしと夫の老後は崩れません。
逆に、新NISAだけに資産の半分以上を入れるのは、60代では、わたしには怖くてできないです。
始めるなら、どこで開設するか
最後に、新NISA口座を開く場所について。
3つの選択肢があります。
ひとつは、メガバンクや地方銀行。 ふだん使っている銀行で開設できます。窓口で相談しながら開けるので、初心者には安心。ただし、信託報酬が高い商品を勧められやすい傾向があります。
ふたつめは、ネット証券。 楽天証券、SBI証券、マネックス証券などが有名です。信託報酬が極めて低い商品を選べます。手続きはネットで完結できますが、最初の手続きが、慣れないと難しいです。
みっつめは、地域の信用金庫。 わたしのように、対面で相談したい方には、近所の信用金庫もひとつの選択肢です。ただし、扱う商品の種類は、ネット証券より少ないです。
わたしは、楽天証券で開設しました。 最初の手続きは、息子に2時間手伝ってもらいました。慣れないと、本当に難しかったです。 家族や知人で詳しい方がいれば、聞きながら開設するのが、いちばん早道だと思います。
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さいごに
新NISAを、60代から始めるべきかどうか。
これは、本当に人によります。
「絶対にやるべき」とも「絶対にやめるべき」とも、わたしは言えません。
ただ、1年やってみて、わたしには、合っていました。
月3万円という、生活に響かない範囲で、ゆっくり、世界の経済の一部に参加している。 夫との会話が増えた。 お金のニュースが、急に身近になった。
含み損のつらい日もありましたが、いまは、続けてよかったと思っています。
もし、いま、銀行の普通預金にずっと置いてあるお金が「もったいない」と感じているなら、月1万円や2万円から、一度試してみるのも、ひとつの選択肢かもしれません。
ただし、繰り返しお伝えしますが、投資は元本割れのリスクがあります。 始める前には、必ず、信頼できる金融機関の方やファイナンシャルプランナーに、自分の生活全体と照らしてご相談ください。
なお、この記事は2026年5月時点の制度と私の体験をもとに書いています。NISA制度は今後も改正される可能性がありますので、最新の情報は金融庁NISA特設ウェブサイトでご確認ください。
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