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50代の貯金、平均と中央値と私の現実の話

ヨバナシ編集部 読了 約6分

テレビや雑誌で『50代の平均貯金は1,200万円』とよく聞きます。でも中央値はぐっと低く、平均は一部の高額貯金者に引き上げられた数字だと知ったのは、わたしが65歳になってから。65歳の今、50代の本当の貯金状況と、わたしの50代を振り返って、平均に振り回されないお金との付き合い方を書きました。

「50代の平均貯金は、1,200万円ですって。うちは全然足りない」

10年前、わたしが55歳の頃、テレビでそんな話を聞くたびに、心がふっと曇りました。

うちの50代の貯金は、当時、500万円ちょっと。 平均の半分以下。 「うちは足りない、足りない」と、夜眠れない時期がありました。

65歳の今、振り返ると、当時のわたしは、大事な事実を知りませんでした。

それは、「平均」と「中央値」が、ぜんぜん違うものだということ。 そして、その「中央値」を見ると、世間のリアルが、まったく違って見える、ということです。

この記事では、公的なデータをもとに、50代の貯金の本当の姿と、平均に振り回されないお金との付き合い方を、お伝えします。

重要なお断り:この記事は、公的なデータと、わたし個人の体験です。家計の判断や老後資金の対策は、個別の事情で大きく変わりますので、必ずファイナンシャルプランナーなど専門家にご相談ください。

平均と中央値の違い(60代向けに簡単に)

まず、いちばん大事なことを、説明します。

「平均」と「中央値」は、ぜんぜん違う数字です。

たとえば、5人の貯金が、こんな金額だとします。

  • Aさん: 100万円
  • Bさん: 200万円
  • Cさん: 300万円
  • Dさん: 400万円
  • Eさん: 5,000万円

この5人の貯金の「平均」は、(100+200+300+400+5,000) ÷ 5 = 1,200万円。

ところが、「中央値」(真ん中の人の貯金)は、Cさんの300万円。

平均は1,200万円、中央値は300万円。 ぜんぜん違いますね。

理由は、Eさんの5,000万円が、平均をぐっと引き上げているからです。

世間の「平均」は、一部の高額貯金者に引っ張られて、実態より高く出ることが、よくあります。

リアルな「真ん中の人の貯金」は、平均より、もっと低いことが多いのです。

公的データで見る、50代世帯の貯金

公的な情報源では、こう案内されています。

50歳代の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均値は約1,210万円、中央値は約300万円

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2023年)

(注:具体的な数字は調査年によって変動します。最新は金融広報中央委員会のサイトでご確認ください)

これを見ると、50代の本当のリアルが、見えてきます。

  • 平均は約1,210万円(高額貯金者に引っ張られた数字)
  • 中央値は約300万円(真ん中の人の本当の貯金)

つまり、世間で言う「50代の平均は1,200万円」は、それを上回る人もいれば、半分以下の人もたくさんいる、という数字なのです。

中央値の300万円は、「半数の世帯は、300万円以下しか持っていない」ということです。

10年前のわたしのうちの500万円は、平均より大きく低かったですが、中央値より大きく高かったのです。

つまり、わたしの家は、当時、50代の上位40〜50%くらいの位置にあったということです。

決して「ダメな家」では、なかったのです。

わたしが、当時、平均に振り回されたこと

当時、わたしが「平均に届かない」と思って、やってしまったことが、3つあります。

ひとつめ、無理な節約。 食費を月3万円にまで切り詰めました。栄養が偏って、夫の血圧が上がった時期がありました。

ふたつめ、危ない投資の検討。 平均に追いつくため、「絶対儲かる」と言われた投資話を、検討してしまいました。義妹が止めてくれて、結局やりませんでしたが、危なかったです。

みっつめ、夫への当たり。 「あなたの給料が低いから」と、夫に当たってしまった時期がありました。当時は本当に悪かったと、今でも夫に思います。

ぜんぶ、「平均に届かない」という焦りが、原因でした。

もし、当時、わたしが「中央値」を知っていれば、こうはなりませんでした。

50代の貯金、何を目安にすべきか

65歳の今、わたしが、50代の方にお伝えしたいことは、こうです。

「平均」より「中央値」を見てください。 そして、「中央値」より、「自分の老後に必要な金額」を、計算してください。

自分の老後に必要な金額は、こう試算できます。

(老後の月の生活費) × 12ヶ月 × (老後の年数) − (年金収入の合計)

たとえば、わたしの夫婦の場合(別記事に詳しく)、

月25万円(生活費) × 12ヶ月 × 30年 = 9,000万円 ー(年金収入30年で約9,000万円) = 0円

つまり、わたしの夫婦の場合、年金だけで老後の生活費はギリギリまかなえる、計算になります。

ただ、医療費、介護費、家のリフォーム、車の買い替え、孫への援助など、想定外の出費が、必ず出ます。 これに備える金額が、本当の「老後資金」です。

わたしは、それを1,000万円〜2,000万円と見積もっています。

50代の中央値300万円は、これに比べると、まだ足りない。 ですが、50代の10年で、月5万円貯めれば、600万円増えます。

夫婦合算で、50代終わりに900万円ほどあれば、老後資金の入口としては、まずまずです。

「中央値の300万円」を目標にするのか、「老後資金1,500万円」を目標にするのかで、行動はぜんぜん違います。

50代の貯金、増やしやすい3つのコツ

50代でこれから貯金を増やしたい方に、わたしの経験から、3つだけお伝えします。

ひとつめ: 支出を「3分類」する

夫の給料明細を見て、お金がどこに消えているか、3分類してみてください。

  • 固定費(家賃、住宅ローン、保険、通信費、サブスク)
  • 変動費(食費、日用品、衣料、医療費)
  • ゆとり費(外食、旅行、贈り物、趣味)

50代の方の貯金が増えない原因は、たいてい「固定費」の見直しが足りない、ことです。

特に保険、通信費、サブスクは、見直すと月1〜2万円減ることが多いです。 これだけで、年12〜24万円、10年で120〜240万円の差になります。

ふたつめ: 子どもの独立を、現金化する

50代の方の多くは、子どもがまだ大学生か、独立したばかりです。

子どもが独立すると、食費、光熱費、教育費が、ぐっと減ります。

その減った分を、「ぜんぶ貯金に回す」と決めてください。

生活が前と同じ感覚で続いていると、減った分は、知らないうちに、ゆとり費に消えていきます。

「独立後の余裕分=貯金」と、家計簿に明記するだけで、貯金が、確実に増えます。

みっつめ: 退職金を、すぐ運用に回さない

50代後半に、ご主人(または奥さま)が退職金を受け取る方も、多いと思います。

退職金の大きな額面を見ると、「これを運用すれば、もっと増える」と感じます。

ですが、退職金を受け取った直後は、絶対に大きな投資をしないこと、と、ファイナンシャルプランナーに教わりました。

理由は、判断が冷静にできない時期だから、です。

退職金は、最低1年、普通預金や定期預金に置いておく。 1年経って、生活が安定したら、その時、ファイナンシャルプランナーと相談して、運用するかどうかを決める。

これが、退職金を失わない、いちばん安全な方法です。

65歳の今、わたしが思う「貯金とのつきあい方」

10年前の50代のわたしは、平均に振り回されて、不安に飲まれていました。

65歳の今、わたしと夫の貯金は、約1,500万円。

これは、50代の平均(1,200万円)よりは、わずかに多い。 ですが、わたしと夫が老後に必要だと試算した金額(2,000万円)には、500万円足りない。

ですが、「足りない」と焦ることは、もう、ありません。

足りない500万円は、いまから10年で、月5万円ずつ貯金できれば、ほぼ追いつきます。

不安に飲まれず、計画的に動く。 これが、65歳のわたしが、ようやくたどり着いた、お金との付き合い方です。

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さいごに

「50代の平均は1,200万円」というニュースは、これからも、何度も耳にすると思います。

ですが、そのニュースの裏には、「中央値は300万円」というリアルがあります。

平均に振り回されず、自分の老後に必要な金額を、ちゃんと計算してください。

10年前のわたしが、それを知っていたら、もっと心穏やかに50代を過ごせたのに、と、今でも、ふっと思います。

これを読んでくださっている50代の方が、平均ではなく、中央値、そして自分のリアルを見て、これからの10年を、穏やかに過ごせますように。

なお、繰り返しになりますが、家計の判断や老後資金の計算は、ご家庭ごとに大きく違います。具体的なご相談は、必ずファイナンシャルプランナー、ライフプランナー、または金融機関の窓口でご確認ください。

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