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介護

親の介護をプロに頼んで、思ったよりよかった3つのこと

ヨバナシ編集部 読了 約6分

85歳の母の介護を、3年前からプロにお願いするようになりました。最初は『家族でやるべき』という気持ちが強かったわたしが、訪問介護・デイサービス・ショートステイの3つを使ってみて、思ったより本当によかった3点を、具体的にお伝えします。プロを頼ることに罪悪感がある60代の方に。

3年前、85歳の母が脳梗塞で倒れたあと、わたしはずっとひとりで母の介護をしていました。

「親の世話は娘の役目」 「他人を家に入れるのは気が引ける」 「お金もかかるし、迷惑だろう」

そんな気持ちが、当時のわたしの中で、ぐるぐる回っていました。

5ヶ月、わたしひとりで母を見て、3kgやせて、夜眠れなくなって、ある朝、台所で過呼吸を起こしました。

そこで、ようやく、ケアマネジャーさんが「プロに頼みましょう」と何度も言ってくれていた言葉が、心に落ちたのです。

それから3年。

母は、訪問介護、デイサービス、ショートステイの3つを、状況に応じて利用しています。

家族介護からプロへ少しずつ切り替えて、わたしの中で「思ったよりよかった」と感じたことが、本当にたくさんありました。

この記事では、その3つを、お伝えします。

「プロに頼むのは申し訳ない」と感じている60代の方に、お読みいただければ幸いです。

よかったこと① 母が「他人と話す機会」を持てた

最初に気づいた、いちばん意外な良さが、これでした。

それまで、わたしと母が二人きりで家にいる時間が、ほとんどでした。

母は、半身不随で、外出が難しい。 わたしは、毎日通って、家事や買い物を手伝う。

「家族の時間」は確かに増えたのですが、母は、わたし以外と話す機会が、ほぼゼロになっていたのです。

週2回、デイサービスに通うようになって、母は明らかに変わりました。

帰ってきた日の母は、わたしによく話します。

「今日、お風呂のあと、新しく入った職員さんと、戦争の話をしたのよ」 「お昼ごはんで、隣の席の方が、お孫さんが結婚するって言ってたの」 「リハビリの先生が、わたしの編み物褒めてくれたの」

母が、家にいる日とデイサービスから帰ってきた日では、話す量も、表情も、まったく違いました。

母は、わたしと話したかったのではなく、他の人と話したかったのです。 それも、家族以外の、いろんな世代の、いろんな経験の人と話したかったのです。

家族介護では、これは、絶対に提供できないことでした。

プロの介護施設に通うことで、母は「社会の一員」に戻れたのです。

よかったこと② わたしが「介護のプロのコツ」を学べた

ふたつめは、わたし自身に起きた変化です。

訪問介護の方が、週3回、家に来てくれます。

最初の頃、わたしは「介護のプロが、母をどう扱うか」を、隣で見るだけでした。

そのうち、訪問介護の方が、いろいろなコツを、こちらに教えてくれるようになりました。

たとえば。

「奥さん、お母様の体を起こすときは、ご自分の腰を曲げずに、ひざを曲げてください。腰を痛めますよ」

「お薬を飲ませるとき、お母様の頭をちょっと前に倒すと、ゴクッと飲み込みやすいです」

「夜中のトイレ介助、奥さんが寝不足になりますから、夜だけ紙パンツに変えるという選択もありますよ」

「お母様が『今日は何曜日?』と聞いてきたら、責めずに、カレンダーを一緒に見るだけでいいんです」

これらは、本やネットで読んでも分からない、現場のコツでした。

訪問介護の方は、何百人ものお年寄りを介助してきた、本物のプロです。

その知恵を、家族介護をしている娘のわたしも、3年間で、少しずつ学んでいきました。

今、わたしひとりで母を介助する日も、3年前より、ずいぶん上手にできるようになりました。

母の体に負担をかけず、わたし自身の腰や肩も痛めず、こなせるようになったのです。

これは、プロにお願いしなかったら、絶対に学べないことでした。

よかったこと③ わたしの「自分の時間」が、ちゃんと戻ってきた

3つめは、ある意味、当たり前のことなのですが、わたしには大きなことでした。

ショートステイを月に1回、3日間、利用するようになって、わたしは「自分のための連続した3日間」を、3年ぶりに取り戻しました。

最初の3日間、わたしは何をしたら良いか、分かりませんでした。

母がいない、家事も介護も最低限でいい3日間。 夫は出張中。

正直、最初の1日は、ソファでぼーっとしていました。 2日目、思いきって、隣町の温泉に日帰りで行きました。 3日目、新しい美容院に行って、髪を5年ぶりに切りました。

3日間が終わって、わたしは生まれ変わったような気持ちで、母をショートステイに迎えに行きました。

母も、職員さんとお泊まりを楽しんで、わたしの顔を見たとき、こう言ってくれました。

「あんた、なんか、いい顔してるね」

「3年ぶりに、自分の時間を持ったから」と、わたしは正直に答えました。

母は、こう言いました。

「もっと早く、頼ればよかったね」

母自身が、わたしのしんどさを、ようやく見てくれた瞬間でした。

ショートステイを使う前、わたしは「母を施設に預けるなんて、かわいそう」と思っていました。

ですが、3年経って、こう思います。

母を3日間プロに預けて、わたしが回復してから、また向き合うほうが、母にとっても良いのだと。

くたびれきった娘に介護されるより、回復した娘に笑顔で接してもらえるほうが、母もうれしいに決まっているのです。

「プロを頼ること」への、わたしの罪悪感の正体

3年経って、わたしの中の罪悪感は、ほぼ消えました。

ですが、振り返ると、最初の頃のわたしの罪悪感は、3つの誤解からできていたと、いま思います。

ひとつめの誤解は、「家族の介護=愛情、プロの介護=ドライ」というイメージでした。 ところが、訪問介護の方も、デイの職員さんも、本当に母を大事にしてくれる方ばかりでした。プロの介護は、ドライどころか、知識と経験に裏打ちされた、温かいケアでした。

ふたつめの誤解は、「他人を頼るのは弱さ」という思い込みでした。 家族だけで抱え込んで、共倒れすることのほうが、よほど無責任な弱さだと、いまは分かります。

みっつめの誤解は、「お金を介護に使うのは贅沢」という気持ちでした。 ですが、母の介護保険の自己負担は、月に3万円以下です。3万円で、わたしの心の健康と、母の人生の質が両方守られるなら、これは贅沢ではなく、必要な投資です。

プロを頼り始める、最初の一歩

プロの介護を頼り始める、いちばんの一歩は、ケアマネジャーさんへの相談です。

ケアマネさんは、要介護認定がついた方には、必ずついてくれます。 まだ要介護認定がない場合は、市区町村の「地域包括支援センター」に電話するのが、いちばん早いです。

電話する内容は、こうです。

「親が高齢で、介護のことを相談したいのですが、何から始めればいいですか」

これだけで十分です。

担当の方が、丁寧に、次の手順を教えてくれます。

最初の電話で、必ずお勧めしたいのは、こう言うことです。

「家族介護で、私はちょっと限界に近いんです」

正直に伝えることで、地域包括の方は、ご家族のしんどさを前提に、選択肢を提案してくれます。

「まだ大丈夫です」と言うと、本当に大丈夫だと思われて、相談が後回しになることがあるそうです。

訪問介護・デイサービス・ショートステイ、どう使い分けるか

3つのサービスは、状況に応じて、使い分けます。

訪問介護は、こんな時に。

  • 親が外出を嫌がるとき
  • お風呂やトイレなど、家でしかできない介助が必要なとき
  • 短時間(1〜2時間)の介助を、こちらの都合に合わせて頼みたいとき

デイサービスは、こんな時に。

  • 親が外出を楽しめる体力があるとき
  • 親が他人との交流を喜ぶとき
  • 家族が日中、出かける必要があるとき

ショートステイは、こんな時に。

  • 家族が連泊で出かける必要があるとき(冠婚葬祭、旅行、出張)
  • 家族介護で疲労がたまったとき(月1回のリフレッシュ)
  • 家族が体調を崩したとき

わたしの場合は、訪問介護を週3回、デイサービスを週2回、ショートステイを月1回、組み合わせています。

費用は、母の介護度(要介護2)で、月3万円以下です。 これは、サービスを使う回数と、ご家族の収入に応じた負担割合で変わります。

詳しい金額は、ケアマネさんが必ず計算して提示してくれます。

さいごに

親の介護を、家族だけで抱え込まないでください。

「プロに頼むこと」は、親への裏切りでも、家族の冷たさでも、ありません。

母と娘の関係が、これからも長く、いい形で続くための、必要な仕組みです。

3年前のわたしのように、毎日通って、3kgやせて、過呼吸を起こす60代の方が、これを読んでくださっているなら、申し上げたいです。

明日、地域包括支援センターか、ケアマネさんに、電話してください。

電話1本で、人生が変わります。

母も、わたしも、3年前より、確実に幸せに過ごせています。 その始まりは、たった1本の電話でした。

なお、介護サービスの内容、費用、利用可能なサービスは、地域や個人の状況によって大きく異なります。実際の利用については、必ずケアマネジャーさん、地域包括支援センター、または市区町村の介護保険窓口にご相談ください。

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#60代 #親 #ありがとう