ヨバナシ —女たちの秘密会議
楽しみ・ひとり時間

夫を置いて一人旅、罪悪感は3日で消えました。60代妻の温泉記

ヨバナシ編集部 読了 約6分

「夫が一人で食事できるか心配」「義実家にどう説明するか」。一人旅を躊躇する60代女性の罪悪感を、実際に行ってみた経験から整理します。出発前の準備、夫への伝え方、温泉宿で気づいた40年ぶりの自分の時間まで、具体的にまとめます。

「お父さん、3日間ひとりで大丈夫?」

そう聞いた時、夫は少し戸惑った顔をしました。私もそうでした。結婚40年、夫を置いて旅行に行くのは初めて。

罪悪感、不安、「私、こんなことしていいのかな」。出発まで、ずっとモヤモヤしていました。

でも、温泉旅館の部屋で一人座った瞬間、その全部が嘘のように消えたのです。

この記事は、夫を置いて初めての一人旅に出た64歳妻の体験記録と、罪悪感を3日で手放す具体的な手順、夫への伝え方、出発前の準備リストをまとめたものです。

全体像から把握したい方へ:この記事は「楽しみ・ひとり時間」シリーズの一部です。生活費、趣味、スマホ活用、一人外出、一人旅、健康とお金の備えまでを7場面で整理した 60代から始める『自分時間』の完全ガイド もあわせてどうぞ。

「夫を置いて行く」罪悪感の正体

光が差し込む静けさ

40年の役割を、急にやめられない

結婚以来、ずっと夫の食事と生活を支えてきた。「妻は家にいるもの」という無意識の前提が、罪悪感の根っこにあります。

でも、考えてみてください。夫は若い頃、出張・接待・趣味で、一人で家を空ける時間が当たり前にありました。それを当然と受け入れていたあなたが、たった2泊の旅で罪悪感を持つ必要は、本来ないのです。

「義実家・周りの目」を気にしすぎる

「お義母さんに知れたら、なんと言われるか」「ご近所に何か言われたら」。これも、よくある罪悪感の源。

でも、60代でひとりで温泉に行く女性は、もう珍しくありません。ハルメクの50代女性一人旅特集でも、シニア女性の一人旅は急増していると報告されています。

「自分のためにお金を使う」ことへの慣れの薄さ

「夫の給料で家計をやりくりしてきた」女性は、自分のために2万・3万を使うことに罪悪感を持つ傾向があります。

でも、年金生活が始まり、子供も独立した今、自分のためにお金を使う優先順位を上げて良い時期です。

夫への伝え方、揉めない切り出し方

NG:いきなり予約してから報告

「来週から、3日間、温泉行ってくるね」

これは夫が驚くだけでなく、「相談されなかった」と感情を害する可能性があります。

OK:3週間前にはふんわり提案

「再来月のあたり、女ひとりで温泉に行こうかなって思ってるんだけど、◯日と◯日と◯日ならどう?」

夫に予定の確認を一緒にやってもらうことで、巻き込み形にする。これが一番揉めません。

夫の食事問題への先回り

3日間留守にする際の食事問題は、以下のどれかで解決します。

  1. 作り置きを冷凍庫に(カレー、肉じゃがなどを小分け)
  2. 外食推奨(「外食代として現金1万円置いていくね」)
  3. コンビニ・スーパーの惣菜活用(夫に簡単な操作のレクチャー)
  4. 配食サービス(ワタミの宅食など、3日プラン)

「夫は一人で何もできない」と決めつけるのは、実は夫を子ども扱いしている可能性も。意外と、夫はやればできるものです。

出発前の準備リスト

1週間前

  • 旅館・宿の予約最終確認
  • 交通手段の予約(新幹線、バスツアーなど)
  • 留守中の家事代行の手配(必要なら)
  • 夫が体調を崩した時の連絡先・近くの病院をメモ

3日前

  • 食事の作り置き準備
  • ゴミ出しルールを夫に再確認
  • 緊急連絡先カードを冷蔵庫に貼る
  • 自分の洋服・薬・洗面用具のチェック

当日朝

  • 戸締まり・火元確認
  • スマホ充電器
  • 保険証・身分証
  • 旅行保険(任意、シニア向けは1日500円程度)
  • 笑顔で「行ってきます」

64歳妻・由美子さん(仮名)の3日間

ノートとペン

由美子さんは、結婚40年で初めての一人旅。行き先は箱根の温泉旅館、2泊3日。

1日目:罪悪感がまだ残っている

新幹線で1時間。窓の外を見ながら、何度もスマホを見る。「夫、家でちゃんとお昼食べてるかな」。

旅館に到着して、部屋に座った瞬間、外を歩く家族連れの声が聞こえた。「みんな家族で来てる中、私だけ一人なのかな」と、少しさみしくなる。

夕食はお願いしていた個室会席。一人でいただく懐石料理は、話す相手がいないのが寂しい反面、自分のペースで味わえる新鮮さもありました。

2日目:何かが変わり始める

朝、温泉に入りながら、「ああ、今、誰もいない」と気づきました。

40年間、朝起きて、夫の朝食、洗濯、掃除、「自分の時間」というものが、いかになかったか。何もしなくていい朝が、こんなに静かで穏やかなものだったとは。

午後は近くの美術館へ。自分のペースで、誰の予定にも合わせず歩く。気づけば3時間経っていました。

3日目:罪悪感が消えている

朝、「もう一日、ここにいたいな」と思っている自分がいました。

帰りの新幹線、夫からのLINEを見て笑いました。

「カレー美味しかった。今日は俺がスーパーで魚買ってきて焼いた」

夫、できるじゃない。家族の生活は、私がいなくても回るんだ、と思えた瞬間、長年の罪悪感が、すっと消えました。

家に帰って、夫の顔を見て、「楽しかった」と言いました。夫は照れたように笑って、「また行ってきていいよ」。

その後、由美子さんは月1回の一人旅を続けています。

一人旅で気をつけたい3つのこと

① 健康管理は普段以上に

シニアの一人旅は、体調を崩したら自分で対処する必要があります。

  • 普段の薬は2日分多めに
  • 旅行保険(任意、コスパ◎)を検討
  • 旅館に「持病があります」と事前共有する

② 連絡頻度のルール作り

「1日1回、夜にLINE」を夫と決めておくと、心配の度合いがちょうどよくなります。頻繁すぎる連絡は、一人時間の質を落とすので注意。

③ 目的地は「行きたい場所」を選ぶ

夫や家族の意向ではなく、あなた自身が行きたい場所を選びましょう。一人旅は、自分の趣味と価値観に向き合う時間でもあります。

一人旅おすすめのパターン

入門:日帰りバスツアー

1泊2日:近郊の温泉

  • 1万5,000〜3万円
  • おひとりさま歓迎の宿を選ぶ
  • 「個室食」の宿が安心

2泊3日:少し遠くの観光地

  • 3万〜6万円
  • 京都、東北、九州など
  • 旅行慣れしてきた段階で

海外も視野に:アジア圏

  • 10万〜20万円
  • 添乗員同行ツアーで安心
  • 台湾・韓国・タイが定番

同じシリーズの他の話

関連記事

相談できる窓口

  • シニア向け旅行代理店(クラブツーリズム、ハルメクトラベルなど)
  • 「おひとりさま歓迎」プランを採用している宿は楽天トラベルで多数掲載
  • シニア向け旅行保険(任意、AIG・損保ジャパン等)

秘密会議のみなさんへ

  • 罪悪感の正体は「40年の役割」「義実家の目」「自分にお金」の3つ
  • 夫への伝え方は3週間前にふんわり提案、巻き込み形に
  • 食事は作り置き・外食・配食サービスで解決
  • 罪悪感は1日目に強く、3日目には消える
  • 「夫はやればできる」と信じる
  • 一人旅は、自分の人生を取り戻す時間

「夫を置いて一人旅なんて」と思っていた40年。今夜、来月の予定を立てて、宿を一つ予約してみてください。きっと、人生の景色が少し変わります。

= 関連する夜話 =

楽しみ・ひとり時間

60代のひとり時間、わたしの『土曜の昼』の過ごし方

65歳のわたしの、土曜の昼の3時間。夫がゴルフに出かけている、ひとりの貴重な時間を、3年かけて、いまの形に整えました。家のなかでの、ささやかな、ひとり時間の作り方を、お伝えします。お金もかからず、特別な準備もいらない、60代女性のひとり時間の作法です。

#60代 #ひとり時間 #土曜

楽しみ・ひとり時間

人生後半戦を穏やかにしてくれた、わたしの3つの言葉

65歳。これからの15年、20年をどう生きるか、ふと不安になる夜があります。そんな夜、わたしを支えてくれる3つの言葉を、本やお寺で出会った時のエピソードとともにお伝えします。新しい言葉ではなく、昔からあった言葉が、60代になって初めて、わたしの心に届きました。

#60代 #人生後半 #言葉

楽しみ・ひとり時間

60代の足がつる、わたしが続けている予防の工夫

夜中に、足がつって、目が覚める。60代になって増えた、こむら返り。いま65歳のわたしが、続けている、予防の工夫を、体験としてお伝えします。水分、ストレッチ、体を冷やさない工夫。あくまで個人の体験ですが、同じく足がつる方のヒントに。受診を考える目安も書きました。

#60代 #こむら返り #足がつる

楽しみ・ひとり時間

60代の耳の聞こえ、わたしが気をつけている3つのこと

60代になって、テレビの音が大きいと言われたり、聞き返しが増えた、いま65歳のわたし。耳の聞こえと向き合うために、わたしが気をつけている3つのことを、体験としてお伝えします。早めの耳鼻科受診、聞こえやすい環境づくり、補聴器への考え方。受診の目安も書きました。

#60代 #耳 #聞こえ