50年の友情を、最後の旅で終わらせた60代妻の別れ
高校からの親友と、最後の旅に出ました。ホテルでの彼女のひと言で、50年の友情は終わった。60代女性の4人に1人が親しい友達がいないと感じる時代。友情を整理する痛みと、手放していい関係の見分け方を体験談でまとめます。
高校からの親友、みどり(仮名)と二人で、京都に行きました。
50年の友情に、旅での2泊3日。それが最後になる、とは、私も、彼女も、予想していなかったと思います。
旅の2日目、ホテルの部屋で彼女が発したたったひと言で、私の中にあった友情という名の何かが、静かに終わりました。
この記事は、50年の友情を終わらせた60代妻の体験談と、なぜ60代で友情を整理することが増えるのか、手放していい関係・手放してはいけない関係の見分け方、そして新しい人間関係の作り直し方まで、実体験と公的データをもとに綴ります。
全体像から把握したい方へ:この記事は「友人関係」シリーズの一部です。古い友人と離れる流儀、ママ友・ご近所・マウント友人の整理、新しい友人を無理なく作る場所までを7場面で整理した 50〜60代女性の友人関係 完全ガイド もあわせてどうぞ。
60代女性の4人に1人が「親しい友達がいない」
実は、みんな同じ問題を抱えている
「親しい友達がいない」「仲のいい友人が減った」と感じているのは、あなただけではありません。
コミュニケーション・フォレストの解説によれば、50代・60代女性の約4人に1人が、頼りになる親しい友達がいないと感じているそうです。
原因は明確で、仕事・子育て・親の介護で忙しく、友情を育む時間がなかったこと。気づけば、学生時代の友人とは疎遠、ママ友も子供の独立と共に離れ、職場の同僚は定年で縁が切れた。
60代は「関係の棚卸し」が起きるタイミング
ESSE onlineの特集記事でも触れられているように、60代は「これまでのしがらみを整理する」タイミングでもあります。
仕事で付き合っていただけの人、子供がいたからこそ仲良くしていたママ友、義理で続けていた関係、無理してつき合う必要はないという空気が、ようやく自分の中に生まれるのが60代なのです。
京都、最後の旅
1日目、無邪気だった
新幹線で2人並んで座って、駅弁を食べながら笑い合った、50年前と変わらない、私たちのリズム。「2泊3日も一緒、楽しみだね」と、無邪気に言っていた自分を、後から思い出すことになります。
2日目の夜、ホテルのツインルームで
私(仮名・美和、62歳)は、みどりと高校からの50年来の親友でした。彼女は結婚してからも、毎年誕生日にLINEをくれて、年に2回は会ってランチをしていました。
その年、「還暦のお祝いに、二人で京都に行こうよ」と盛り上がり、2泊3日の旅が実現しました。
2日目、夕食を終えてホテルのツインルームで、私が話しはじめた出来事がきっかけでした。私の夫は3年前に会社を早期退職し、家で鬱病になっていました。私がずっと一人で支えてきた話を、みどりにだけ、そのとき初めて打ち明けたのです。
みどりは、何かを考えるよりも先に、こう言いました。
「あなたのだんなさん、弱い人ね。私のところは、そういうことないから、わかんないけど」
沈黙が、ゆっくり部屋に満ちました。
50年、中学でも高校でも旅行先でも、彼女のこの癖には、実は何度も傷ついていた。でも、気づかないフリをしてきた。あるいは、若かったからあいまいにできた。
60代の今、もう、あいまいにする余力はなかったのです。
「うん、そうね」と返事をして、私は眠りました
言い返さず、ケンカにもせず、次の日の朝食も普通に食べました。京都駅で別れた時も、普通に「ありがとう、また」と言いました。
帰りの新幹線で、私は気づきました。
「もう、彼女とは会わない」
50年続いた友情は、ひと言のマウントでは終わらなかったのです。50年、少しずつ気づかなかった違和感が降り積もって、ひとつの言葉で満杯になって、静かに終わりました。
友情を整理する痛みと、その先
連絡を絶つ必要はない
みどりからは数週間後にLINEが来ました。「次いつ会う?」と。
私は返しました:「しばらく、忙しくなりそう。また連絡するね」
それから1年半、私からは連絡していません。彼女からも、段々と来なくなりました。
ダイヤモンド・オンラインが指摘するように、「自然消滅」は、大人の友情を終わらせる一番柔らかい方法です。宣言もしない、相手を責めもしない、ただ距離を置く、これで相手は傷つかず、自分も罪悪感を引きずらずに済みます。
やめて良い関係、続けていい関係
50年の友情を振り返って、私が気づいた3つの見分け方を共有します。
① 会った後、元気が出るか、削られるか
みどりと会った後、私はいつも疲れていた。でも、30年来のほかの友人と会った後は、必ず元気になっていた。これが分かれ目でした。
② 「いい話」を素直に喜べるか
みどりに孫ができたと報告した時、彼女は「うちはまだ先だわ、ゆっくりで」と応えた。一方、別の友人は泣いて喜んでくれた。嫉妬心の有無が、関係の健全さを教えてくれます。
③ 弱さを見せられるか
夫の鬱の話を、みどりには50年間打ち明けられなかった。それが答えでした。
新しい友人は、60代からでもできる
「友達作り」は恥ずかしくない
60代・70代で友達作りに動くのは、意外なほど一般的になっています。
- 趣味のサークル(俳句、絵、料理、ウォーキング)
- カルチャーセンター(NHK、朝日、毎日などの講座)
- シニア大学・市民大学(自治体主催のものが多く、無料〜数千円)
- 地域のボランティア活動(社会福祉協議会経由)
ハルメクハルトモ倶楽部のように、シニア向けの新しい友達作りコミュニティも充実しています。
「浅く広く」でいい
60代からの友情は、学生時代のような濃密さではなく、「月1回お茶する程度の、軽い関係を10人くらい持つ」のがちょうどいい。
1〜2人の深い友情を失ったとしても、5〜10人の軽い関係が新しく作れれば、孤独は消えます。
相談できる窓口(孤独を感じるとき)
- 自治体の「シニア相談窓口」:無料で気軽に話せる
- 厚労省:相談窓口一覧:心のSOS相談窓口
- 心療内科:孤独感が長引くなら受診を検討
秘密会議のみなさんへ
- 60代女性の約1/4が、親しい友達がいないと感じている
- 50年の友情でも、手放していい。自然消滅で十分
- やめていい関係の見分け方:①会った後元気か ②いい話を喜べるか ③弱さを見せられるか
- 新しい友人は、趣味・カルチャー・ボランティア経由で作れる
- 「浅く広く10人」が、60代に合うリズム
友達が減ったと感じたとき、あなたが間違っているのではありません。ただ、「人生の棚卸しの時期」に入っただけ。そこから、あなたにふさわしい新しい関係を作っていけばいいのです。
今夜、LINEを開いてみてください。会いたくない人とは、もう会わなくていい。そう自分に許可を出すところから始まります。
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※本記事は体験談と一般論です。具体的な人間関係のお悩みは、カウンセリング・心療内科などの専門家にもご相談ください。
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