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コラム

= COLUMN =

友人の引っ越し、わたしが手伝った1週間の話

ヨバナシ編集部 読了 約7分

65歳のわたしの友人(64歳、由美子さん)が、夫を亡くしたあと、ひとり暮らしのため、5LDKから2DKへ引っ越し。わたしが、1週間、毎日のように、通って、手伝いました。荷物の整理、思い出の品の選別、新居の準備、そして、由美子さんと、わたしが、共有した、深い時間を、お伝えします。

65歳のわたしの、いちばんの、友人、由美子さん(64歳)が、去年の秋、引っ越しを、しました。

由美子さんは、3年前に、ご主人を、亡くしました。 お子さんは、ひとり、もう独立して、関東に、住んでいます。

ひとり暮らしには、5LDKの一軒家は、広すぎる。 そして、お庭の手入れも、もう、ひとりでは、難しい。

そこで、由美子さんは、駅近くの、2DKのマンションに、引っ越すことを、決めました。

引っ越しの、約2週間前から、わたしは、由美子さんから、こう、頼まれました。

「由紀子さん、引っ越し、ちょっと、手伝ってくれない?ひとりで、こんな量の荷物を、整理するの、無理だわ」

わたしは、もちろん、引き受けました。

そして、引っ越し本番の、1週間前から、本番の日まで、わたしは、ほぼ毎日、由美子さんの家に、通って、引っ越しの、手伝いを、しました。

今日は、その1週間の、わたしと由美子さんの、共有した時間を、お伝えします。

「友人の引っ越しを、手伝いたい」「友人に手伝ってもらいたい」と、感じている、60代の方に、ひとつの参考に、なれば、と思います。

月曜日: 荷物の、ざっくりの仕分け

引っ越し1週間前の、月曜日の、午前10時。 わたしは、由美子さんの家に、向かいました。

5LDKの一軒家には、35年分の、荷物が、ぜんぶ、詰まって、います。

由美子さんと、ご主人と、お子さんで、過ごしてきた、35年の、暮らしの跡。

まず、由美子さんが、わたしに、言いました。

「ぜんぶは、新居に、持っていけない。半分くらいに、絞らないと、収まらない」

そこで、わたしと由美子さんは、3つの段ボールを、用意しました。

  • 「持っていく」段ボール
  • 「捨てる/処分する」段ボール
  • 「迷う」段ボール

それぞれの部屋を、ひとつずつ、回って、ぜんぶの物を、この3つに、振り分けます。

月曜日は、リビング、と、キッチンの、2部屋だけ。

それでも、5時間、かかりました。

由美子さんが、夕方、こう、笑って、言いました。

「由紀子さん、本当に、助かる。ひとりだったら、絶対、進まなかった」

火曜日と水曜日: 衣類と、本の整理

火曜日と、水曜日は、衣類と、本の、整理でした。

衣類

由美子さんと、ご主人の、衣類。 35年分の、コート、スーツ、お洋服、寝間着。

由美子さんは、ご主人の衣類を、3年経った、いまも、ぜんぶ、捨てられて、いませんでした。

「捨てるべきって、わかってるんだけど、なかなか…」

由美子さんが、ぽつりと、言いました。

そこで、わたしは、こう、提案しました。

「ご主人の、いちばん、お気に入りのコート、1着だけ、新居に、持っていきましょう。残りは、リサイクルショップに」

由美子さんは、ご主人の、グレーの、お気に入りだった、コートを、選びました。

そして、ほかは、近所の、リサイクルショップに、出すことに、しました。

由美子さんは、コートを、抱きしめて、しばらく、泣いていました。

わたしも、そばで、いっしょに、泣きました。

由美子さんと、ご主人は、ふたりとも、読書家。 本は、合計、約2,000冊、ありました。

新居の、2DKには、本棚を、置く場所が、限られています。

そこで、由美子さんと、わたしで、こう、決めました。

  • 由美子さんが、いちばん大事な、500冊だけ、新居に
  • ほかは、近所の、図書館に、寄贈、または、古本屋に売る

500冊を、選ぶのに、火曜日の午後と、水曜日の午前、合わせて、8時間、かかりました。

由美子さんが、1冊1冊、手にとって、「これは、夫が、何回も、読み直していた本」「これは、わたしが、大学のときに、読んだ本」と、思い出を、ぽつぽつ、わたしに、話してくれました。

わたしは、ただ、聞いて、いました。

由美子さんの、思い出を、聞くこと、それ自体が、引っ越しの、いちばん、大事な、手伝いだった、と、いまは、思います。

木曜日: お庭と、写真の整理

木曜日は、お庭の、手入れと、写真の、整理。

お庭

由美子さんの家には、20年もの、立派なお庭が、ありました。

由美子さんが、ご主人と、いっしょに、植えた、桜、紅葉、つつじ。

「桜の樹の、苗木、新居の、ベランダで、育てる」と、由美子さんは、決めました。

そこで、近所の、植木屋さんに、依頼して、桜の樹の、若い枝から、苗木を、つくってもらう、ことに、しました(挿し木の技術が、あるそうです)。

苗木は、1ヶ月後、新居に、届きます。

そして、立派なお庭は、新しい持ち主に、引き継ぐ、ことに、なりました。

写真

35年分の、家族の写真。 アルバム、約20冊。

由美子さんと、わたしで、1冊ずつ、めくりました。

「これは、息子の、入学式」 「これは、夫と、わたしの、結婚記念日のパリ旅行」 「これは、わたしの、大学の同窓会」

由美子さんが、写真の、思い出を、ぼんやり、わたしに、話してくれて、わたしは、そばで、聞いていました。

由美子さんは、20冊のアルバムを、ぜんぶ、新居に、持っていく、ことに、しました。

「2DKでも、アルバムだけは、ぜんぶ、持っていく。これは、わたしの、人生の、ぜんぶ、だから」

由美子さんの、その一言は、わたしの、心に、深く、残りました。

金曜日: 段ボールへの、本番の梱包

金曜日は、引っ越し業者が、来る、前日。 本番の、梱包の日、でした。

由美子さんと、わたしで、午前から、夕方まで、ぜんぶの物を、段ボールに、詰めました。

合計、約80箱。

由美子さんが、夕方、リビングの、最後に、残った、ご主人の、お気に入りの椅子に、座って、こう、言いました。

「由紀子さん、本当に、ありがとう。ひとりだったら、この引っ越し、3週間、かかったわ」

わたしは、由美子さんの隣に、座って、こう、伝えました。

「由美子さんが、ご主人との、思い出を、ちゃんと、整理する時間を、いっしょに、過ごせて、わたしも、本当に、よかった。35年の家を、出るって、すごいこと、だよ」

由美子さんと、わたしは、しばらく、リビングで、何も話さずに、いっしょに、座って、いました。

土曜日: 引っ越し本番

土曜日の、午前9時。 引っ越し業者の、トラックが、来ました。

由美子さんと、わたしが、見守る中、約80箱の、荷物が、トラックに、積み込まれて、いきました。

正午、由美子さんは、35年の、一軒家を、最後に、振り返って、見ました。

「夫と、息子と、ここで、35年。本当に、ありがとう、家」

由美子さんが、家に、ぽつりと、お礼を、伝えた、その一言。

わたしも、いっしょに、家に、お辞儀を、しました。

日曜日: 新居の、片づけ

新居の、2DKマンションに、80箱の、荷物が、届きました。

日曜日は、新居の、片づけの日。

由美子さんと、わたしで、ぜんぶの段ボールを、開けて、家具の配置、お皿の収納、お洋服のクローゼットへの収納。

夕方までに、なんとか、由美子さんが、その晩、寝られる状態に、できました。

夕方、わたしと由美子さんは、新居の、まだ、ちょっと、ごちゃごちゃの、リビングで、お祝いの、お茶を、飲みました。

由美子さんが、こう、言いました。

「新しい暮らしが、始まる気が、する。ここから、わたしの、ひとり暮らしの、ちゃんとした、第二章、です」

その由美子さんの、明るい笑顔は、わたしも、本当に、嬉しかった、です。

1週間の、手伝いから、わたしが学んだ3つのこと

由美子さんの引っ越しを、1週間、手伝って、わたしが、学んだことを、3つ、お伝えします。

学び① 友人の引っ越し手伝いは、「思い出の整理」を、いっしょにすること

引っ越しの、いちばんの、価値は、荷物を運ぶこと、ではありません。

35年の、ご主人との、思い出を、ひとつ、ひとつ、由美子さんが、整理する時間。 それを、わたしが、そばで、聞いている時間。

これが、引っ越しの、いちばん大事な、手伝いだった、と、いまは、思います。

ご友人が、引っ越しの整理をしているとき、ぜひ、そばで、ゆっくり、お話を、聞いて、あげてください。

学び② 60代の引っ越しは、夫婦の歴史を、整理する時間

60代の、ひとりになってからの、引っ越しは、ご主人との、35年の歴史を、整理する時間でも、あります。

ご主人の衣類、本、写真、お庭。 ひとつ、ひとつ、由美子さんが、ご主人を、もう一度、抱きしめる、時間。

引っ越しを、急がない。 「思い出の整理」に、時間を、かける。

これが、ひとりになってからの、引っ越しの、いちばん、大事な、コツです。

学び③ 友人と過ごす時間は、宝物

由美子さんと、わたしの、1週間。

毎日、由美子さんの家に通って、いっしょに、整理する時間。

ご主人の思い出を、由美子さんから、聞かせて、もらう時間。

これが、わたしと由美子さんの、友情を、もっと、深いところまで、結び直して、くれました。

友人と過ごす時間は、本当に、宝物、です。

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さいごに

由美子さんの、引っ越しを、1週間、手伝った、その、経験。

それは、わたしと、由美子さんの、友情の、いちばん、深いところを、見せて、くれました。

35年の、ご主人との、思い出を、いっしょに、振り返って、整理して、新しい暮らしへ、見送る。

これは、ひとりでは、絶対に、できない、ことでした。

友人が、いるからこそ、できる、こと、です。

由美子さんは、いま、新しい、2DKマンションで、桜の苗木を、ベランダで、育てて、毎日を、過ごしています。

「ご主人との、35年が、ちゃんと、わたしの心の中で、生きている」と、由美子さんは、笑顔で、いまも、わたしに、教えてくれます。

なお、引っ越しは、ご家庭ごとに、本当に、違います。ご友人の状況に、合わせて、無理ない範囲で、お手伝いを、進めてみてください。

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#60代 #友人 #病気