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コラム

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暑中見舞い、今年は一枚だけ書いた

ヨバナシ編集部 読了 約4分

年賀状じまいをして、季節の挨拶からすっかり離れていたわたし。それでも今年の夏、たった一枚だけ、暑中見舞いを書きました。宛先は、施設で暮らす昔の友人。義理で出す百枚より、心をこめた一枚。65歳のわたしの、小さな夏の便りの話をお伝えします。

7月も、半ばを過ぎると、文具売り場に、夏らしい、はがきが、並びます。

金魚、朝顔、花火。

その、涼しげな、絵柄を、ながめながら、わたしは、今年、一枚だけ、はがきを、買いました。

暑中見舞いです。

たった、一枚だけ。

今日は、その、一枚の、夏の便りの話を、お伝えします。

なお、これは、わたし個人の、体験です。おつき合いの、かたちは、人それぞれです。あくまで、ひとつの話として、お読みください。

年賀状じまいを、して以来

わたしは、去年、年賀状じまいを、しました。

そのいきさつは、別記事(友人と年賀状じまいをした、それでも関係は終わらなかった)に、書いたとおりです。

手が、つらくなったこと。

義理の、やりとりに、疲れたこと。

やめてみると、心は、軽くなって、本当に、大切な人とは、電話や、手紙で、つながり続けて、います。

だから、暑中見舞いも、当然、もう、書かないつもりで、いました。

季節の、挨拶ごとから、わたしは、卒業したのだと。

施設にいる、昌子さんのこと

その、つもりを、変えたのは、ひとりの、友人の、ことでした。

昌子さん。

若い頃、職場で、いちばん、仲の良かった人です。

数年前に、体を、悪くして、いまは、少し、遠くの、施設で、暮らしています。

面会は、ご家族だけ、という、決まりで、わたしは、もう、ずいぶん、会えていません。

電話も、耳が、遠くなって、難しい。

LINEなどは、もともと、使わない人。

つまり、昌子さんに、届く手段は、紙の、便りだけ、なのです。

年賀状じまいの、お知らせを、出したとき、昌子さんの、ことだけが、ずっと、心に、ひっかかって、いました。

文具売り場で、足が止まった

そんな、7月の、ある日。

買い物の、ついでに、通りかかった、文具売り場で、金魚の、絵柄の、はがきに、足が、止まりました。

涼しげな、赤い金魚が、二匹、泳いでいる。

それを見て、ふっと、思い出したのです。

昔、昌子さんと、仕事帰りに、寄った、夏祭りで、ふたりして、金魚すくいに、夢中になったこと。

ぜんぶ、逃がして、笑いあったこと。

気がつくと、わたしは、その、はがきを、一枚だけ、レジに、持って、いっていました。

一枚に、何を書くか

家に、帰って、机に、向かいました。

たった、一枚の、暑中見舞い。

百枚、書いていた頃は、印刷した、決まり文句に、ひとこと、添えるだけでした。

でも、一枚だけなら、ぜんぶ、手で、書けます。

暑中お見舞い申し上げます。

金魚の、はがきを、見つけて、あの、夏祭りを、思い出しました。

ぜんぶ、逃がして、ふたりで、笑いましたね。

こちらは、変わらず、元気にしています。

昌子さんの、夏が、少しでも、涼しく、ありますように。

書き終えるのに、三十分も、かかりました。

字が、うまく、書けなくて、二度、書き直しました。

それでも、百枚の、年賀状より、ずっと、心のこもった、便りが、書けた気が、しました。

返事は、来なくていい

ポストに、入れるとき、わたしは、決めていました。

返事は、来なくて、いい。

昌子さんの、体では、返事を、書くのは、大変です。

「お返事は、いりませんからね」と、はがきにも、書き添えました。

季節の、挨拶は、本来、そういうもの、なのかもしれません。

見返りの、ためでなく、ただ、相手の、夏を、思って、送る。

別記事(友人と始めた、月1回の手紙のやりとり)の、やりとりとは、また違う、一方通行の、便り。

それでも、ちゃんと、つながりだと、思えるのです。

ご家族から、届いた知らせ

半月ほど、して、思いがけず、封書が、届きました。

昌子さんの、娘さんからでした。

「母に、はがきを、読んで、聞かせたところ、金魚すくいの話を、うれしそうに、何度も、しています。壁に、貼って、毎日、ながめています」

わたしは、その、便せんを、持ったまま、しばらく、動けませんでした。

一枚の、はがきが、施設の、壁に、貼られて、昌子さんの、夏に、なっている。

書いて、よかった。

心から、そう、思いました。

やめることと、続けること

年賀状じまいを、した、わたしが、暑中見舞いを、一枚だけ、書いた。

矛盾している、ようですが、自分の中では、つながって、います。

やめたのは、義理の、やりとり。

残したのは、心の、便り。

全部、やめるか、全部、続けるか、では、なくて、「この人にだけは」を、残していい。

おつき合いの、整理とは、そういうこと、なのだと、この夏、あらためて、思いました。

さいごに

年賀状じまいを、した、わたしが、今年、一枚だけ、書いた、暑中見舞い。

宛先は、紙の便りしか、届かない、施設の、友人でした。

金魚の、はがきに、三十分、かけて、書いた、数行。

それが、友人の、部屋の壁で、夏を、涼しくしている。

もし、あなたにも、「あの人、どうしているかしら」と、心に、ひっかかる人が、いたら。

この夏、一枚だけ、書いてみませんか。

義理の、百枚は、いりません。

心のこもった、一枚が、あれば、じゅうぶんです。

友人関係の、見直しを、考えている方は、別記事(50〜60代女性の友人関係 完全ガイド)も、あわせて、ご覧ください。

なお、おつき合いの、かたちは、人それぞれです。ご自分の、心に、合った、つながり方を、選んでください。

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