= COLUMN =
64歳の梅雨入り、家事を3つやめてみました
64歳、夫と二人暮らし。今年の梅雨入り前に、長年続けてきた家事を3つだけやめてみました。シーツを毎日干すこと。朝6時の窓開け換気。夫のお弁当作り。やめてみたら、朝の15分が静かに戻ってきた、ある64歳妻の記録です。
今年の梅雨入りが、もうすぐです。
毎年、梅雨に入ると、私は少しだけ憂鬱でした。洗濯物が乾かない、家の中がじっとり重たい、台所が薄暗い。それでも家事は同じだけ続きます。むしろ増えます。
今年は、ひとつだけ違うことをしてみました。
長く続けてきた家事を、3つだけ、やめてみたのです。
64歳、夫と二人暮らし、結婚40年。やめてみるのに、40年もかかりました。
やめたこと1:シーツを毎日干す
私は、結婚した24歳の頃から、シーツを毎日干していました。
「干さないと臭うから」。義母にそう言われたのが結婚した最初の夏で、それから40年、ずっとそうしてきました。
ところが今年の春、ある日ふと、夫が「シーツって毎日洗わなくていいんじゃないの」と言いました。何気ない一言です。
「臭わない?」と私が聞くと、夫は「臭ったことないよ」と言いました。
40年です。
40年、私は誰も求めていなかった毎日のシーツ干しを、続けていたのかもしれません。
試しに、今は週に1回だけ洗います。毎朝のシーツ取り込みがなくなって、朝の15分が、静かに浮きました。湿度の高い梅雨入り前でも、寝室は普通に過ごせています。
夫は何も言いません。たぶん、気づいてもいません。
やめたこと2:朝6時の窓開け換気
これも、義母から教わった習慣でした。「朝、家中の窓を開けて空気を入れ替えなさい」。
梅雨に入ると、外の湿った空気を家に入れることになる。頭ではわかっていたのに、私は毎朝、窓を全部開けて回っていました。
今年は、エアコンの除湿モードを朝6時にタイマー設定して、窓を開けるのをやめました。
換気が必要な時は、台所の換気扇を1時間まわすだけ。換気量はそれで足ります。
朝、窓を開けて回らないだけで、目覚めの空気が違いました。
冷たい湿気を吸わなくていい。布団から出てすぐ、ぬるい部屋でコーヒーを淹れられる。これが本当に、私のしたかった朝でした。
64歳になって、初めて気づきました。
やめたこと3:夫のお弁当
夫は3年前に定年退職して、いまは週3日のパート勤めです。
そのパート先には、まあまあ美味しいランチが400円で食べられる社員食堂があります。
それなのに私は、3年間、毎朝お弁当を作っていました。
なぜか。よくわかりません。たぶん、夫が会社員時代の40年間、毎朝お弁当を作ってきた手の動きが、止まらなかっただけです。
今年の連休明けに、夫に聞いてみました。
「お弁当、いる?」
夫はしばらく考えて、「いらない、と言ったら、悪いかな」と言いました。
私は笑いました。
「悪くないよ」
それから2週間、夫はパート先の食堂で昼食をとっています。私は朝、自分のためだけにお茶漬けを作ります。具は鮭か、梅干しか、たらこの日もあります。
夫がいた時の朝食より、私は自分の朝食が好きです。
やめてみて、わかったこと
3つやめて、朝の30分が浮きました。
その30分で、私は何をしているか。
新聞を、ゆっくり読んでいます。
「ゆっくり」というのが大事で、これまで私は新聞を、夫の朝食の合間に「斜め読み」していました。読んでいるつもりで、何も覚えていなかった。
今は、湯のみのお茶が冷めるまで、1面と社会面と地域面の3つを、ちゃんと読んでいます。読んだ後、なんとなく、その日が始まる気がします。
3つやめたことで戻ってきたのは、家事の時間ではなく、自分の時間でした。
やめる前に、確かめたこと
「やめる」と決める前に、ひとつだけ確かめました。
夫は、嫌がっていないか。
シーツ、窓開け、お弁当。3つとも、私は「夫のために」と思って続けていました。でも、確かめてみたら、夫はどれも、特に求めていなかった。
私が、私の中の「義母の声」のために続けていたのです。
64年生きてきて、初めて気づきました。
家事の半分は、誰のためでもなく、自分の中の「ちゃんとした主婦像」のために続けていたのだと。
梅雨入り前の、あなたへ
家事は、減らせます。
40年続けてきた家事を、3つだけでも、やめてみてください。
夫が嫌がっていないか、確かめるだけです。「やめてもいい?」と聞くだけです。たぶん、半分は、夫にとってもどうでもいいことです。
そして、浮いた朝の30分で、新聞でも、コーヒーでも、ぼんやりでも、なんでもいい。
その時間が、たぶん、64歳の私たちに、いちばん必要なものだと思います。
梅雨入りの前に、ひとつだけ、ぜひ。
60代から始める『自分時間』の完全ガイド / 60代一人暮らしの生活費はいくら? / 熟年離婚を考えはじめた50〜60代妻の完全ガイド / ヨバナシ「みんなの夜話」
※本コラムは、ヨバナシ編集部が複数の60代女性への取材をもとに、フィクション化した一人称体験談です。プライバシー保護のため、登場人物・年齢・状況に修正を加えています。
この話を分かち合う