60代の通帳が3つ、わたしが整理を始めた金曜の朝の話
65歳のわたしの家に、銀行通帳が3冊ありました。給与振込口座、生活費引き落とし口座、貯蓄口座。年に1回も開かない通帳もあって、月の手数料だけが引かれていく状態。金曜の朝、思いきって整理を始めた1ヶ月の記録と、最終的に通帳を1つにまとめるまでの判断を、お伝えします。
65歳のわたしの家に、銀行通帳が3冊、ありました。
ひとつめ、現役時代の給与振込に使っていた、メガバンク。 ふたつめ、生活費の引き落としに使っている、地方銀行。 みっつめ、定期預金の貯蓄用に使っている、ネット銀行。
ぜんぶ、結婚前から、または結婚してすぐに作って、もう40年使っている口座でした。
それぞれの口座に、いくら入っているか。 それぞれの口座から、何が引き落とされているか。 それぞれの口座の、暗証番号は何か。
正直、ぜんぶ把握できていませんでした。
その状態が、ふと、怖くなったのが、去年の春の金曜の朝でした。
それから1ヶ月。 わたしは、通帳の整理を、本気で始めました。
最終的に、3つの通帳を、ほぼ1つにまとめるところまで、いきました。
この記事は、その1ヶ月の記録です。
通帳3つの問題
通帳3つを持っていることの、具体的な問題が、3つありました。
ひとつめ、それぞれの残高を、把握できていない。 3つの通帳の合計を、わたしは、半年に1回しか、確認していませんでした。 口座移動も、毎月決まったルーチンになっていて、何がどこから引き落とされているのか、ちゃんと見たことがなかったのです。
ふたつめ、口座維持手数料が、引かれている。 メガバンクの口座は、最近、「2年以上動きがなかったら、月110円の手数料がかかる」ようになっていました。 わたしのメガバンク口座は、給与振込が止まってから、3年動いていませんでした。 気づかないうちに、月110円、年1,320円、3年で約4,000円、手数料で引かれていたのです。
みっつめ、わたしが亡くなったとき、子どもが困る。 わたしと夫が同時に何かあったとき、息子が3つの銀行の手続きを、ぜんぶする必要があります。 これは、息子の負担を、大きく増やすことです。
公的な情報源では、こう案内されています。
預貯金等の遺産分割を行うためには、相続人全員の署名と実印・印鑑証明書等が必要となります
口座が多いほど、手続きが増えます。 息子に、その負担を、なるべくかけたくなかったのです。
金曜の朝、3つの通帳を並べた
その金曜の朝、夫は早朝のゴルフに出かけていました。
ひとりの家で、わたしは、引き出しから、3つの通帳を取り出しました。
通帳ケース、印鑑、暗証番号を書いたメモも、ぜんぶ、テーブルに並べました。
そして、まず、3つの通帳の最終ページを、確認しました。
メガバンク: 残高32万円(過去3年、給与振込なしで、月110円の手数料引き落としだけ) 地方銀行: 残高15万円(毎月の生活費引き落とし用) ネット銀行: 残高320万円(定期預金)
合計: 367万円。
3つを並べて、初めて、はっきり、わかりました。
メガバンクの32万円は、3年、ほぼ動いていない。 地方銀行の15万円は、生活費の出入りで、ぐるぐる回っている。 ネット銀行の320万円は、定期で固定されている。
3つの口座が、まったく違う性格を持っていました。
1週目: 銀行に電話して、現状を確認
最初の1週間は、現状の確認に使いました。
メガバンクに電話して、こう聞きました。
「わたしの口座、もう3年使っていないんですが、手数料がかかっていますよね。今後の選択肢を教えてください」
オペレーターさんの説明は、こうでした。
- 月110円の手数料は、給与振込か、年金振込か、月1回以上の入出金で、ゼロになる
- 解約するなら、印鑑、本人確認書類、通帳を持参で、窓口へ
- 口座を残したまま、他の銀行に資金を移す場合も、窓口手続きが必要
「解約手続きは、20分くらいかかります」とのことでした。
地方銀行とネット銀行にも、同じように電話して、現状を確認しました。
ネット銀行の方が、いちばん面白かったです。 オペレーターさんが、「他行への振込は、月3回まで無料です。ATMの引き出しも、月5回まで無料」と教えてくれました。
ネット銀行は、わたしが想像していたより、ずっと使いやすかったのです。
2週目: 「どこの口座をメインにするか」を決めた
電話確認の結果、わたしは、こう決めました。
- メインの口座は、ネット銀行に集約する
- 地方銀行は、当面残す(地元の引き落としに紐づいているため)
- メガバンクは、解約する
決め手は、3つでした。
ひとつめ、ネット銀行は、24時間スマホで残高確認ができる。 高齢になると、車を運転して銀行に行くのが、だんだん大変になります。スマホで残高確認できると、本当に楽です。
ふたつめ、ネット銀行は、ほとんどの取引が無料。 他の銀行と比べて、振込手数料、ATM手数料が、わたしの場合、ぜんぶ無料圏でした。年間で何千円も違います。
みっつめ、息子にとっても、ネット銀行のほうが、扱いやすい。 息子(40代)は、ネットでの操作に慣れています。わたしが亡くなったあとの相続手続きでも、ネット銀行のほうが、息子には分かりやすいだろう、と判断しました。
3週目: メガバンクを解約した
3週目、わたしは、メガバンクの窓口に行きました。
通帳、印鑑、運転免許証を持参。 窓口で「口座を解約したいんですけど」と申し出ました。
解約手続きは、約25分でした。
オペレーターさんが、こう聞きました。
「最後に、解約の理由を、お差し支えなければ教えていただけますか」
わたしは、こう答えました。
「もう、ほぼ使っていないので、整理したくて」
オペレーターさんは、にっこり笑って、「分かりました。ありがとうございました」と言ってくれました。
引き止められることは、ありませんでした。
メガバンクの残高32万円は、現金で受け取り、その足で、ネット銀行のATMに行って、入金しました。
40年つきあった銀行と、別れた瞬間でした。
少し、寂しさはありました。 ですが、それより、「ひとつ、整理が進んだ」感覚のほうが、大きかったです。
4週目: 通帳の置き場所と、エンディング情報の整理
最後の週、わたしは、残った2つの通帳を、エンディングノートに記録しました。
エンディングノートに書いたのは、こんな情報です。
- 銀行名と支店名
- 口座番号
- 暗証番号(これは別途、家族にだけ伝わるよう、封筒に封印して、息子に渡す形にしました)
- ネット銀行のログインIDとパスワード(これも別途封印)
- それぞれの口座の用途(地方銀行=生活費、ネット銀行=メイン)
- 残高(年1回更新)
通帳の置き場所も、整理しました。
- 通帳本体: リビングの引き出しの3段目
- 印鑑: 同じ引き出しの2段目
- エンディングノート: 寝室のクローゼットの一番上の段
これを、夫にも、息子にも、伝えました。
「もし、わたしに何かあったら、ここを見て」と。
整理して、減ったお金、増えた安心
1ヶ月で、3つの通帳が、2つになりました。
具体的に、減ったのは、こんなお金です。
- メガバンクの口座維持手数料: 年1,320円が、ゼロに
- 他行への振込手数料: ネット銀行で無料圏が広がり、年で約3,000円減
- 残高把握のための時間: 月30分が、月10分に(スマホで確認できるから)
増えたのは、安心です。
- 自分の総資産が、いつでも把握できる安心
- 息子の相続手続きが、シンプルになる安心
- 手数料で減るお金が、ほぼなくなる安心
これらは、お金で測れない部分ですが、わたしの中で、ずいぶん大きいです。
60代の通帳整理、3つのコツ
通帳整理を、これから始める方に、3つのコツを、お伝えします。
ひとつめ、まず3つの通帳を「物理的に並べる」。 頭の中で考えるのではなく、テーブルに並べてください。並べた瞬間、「ああ、こんなにあった」と気づきます。
ふたつめ、解約・統合の前に、必ず銀行に電話で確認する。 オペレーターさんが、丁寧に教えてくれます。手数料がかかる条件、解約に必要なもの、メリットとデメリットを、専門家から聞ける、貴重な機会です。
みっつめ、ネット銀行も、選択肢に入れる。 60代でも、ネット銀行は、使いこなせます。むしろ、移動が大変になってから、ネット銀行のほうが、ずっと楽になります。
残したい1つの口座は、子どもの世代も知る口座
最後にひとつ、覚えておくと役に立つことを。
通帳を1つに集約するなら、「子ども世代も知っている銀行」にしたほうが、いいです。
メガバンクと、有名なネット銀行は、子ども世代もよく知っています。 地方の小さな銀行や、聞き慣れない金融機関は、お子さんの相続手続きで、戸惑う可能性があります。
わたしの場合、地方銀行を残したのは、地元の引き落としに紐づいているためですが、メインはネット銀行(楽天銀行)にしました。 息子も、ふだん楽天で買い物をしているので、楽天銀行の名前は知っています。
息子の負担を、最小限にする。 これも、60代の通帳整理の、隠れた目的のひとつです。
さいごに
通帳3つを2つに減らしただけで、わたしの暮らしは、ずいぶん整いました。
年に4,000円の節約も、嬉しいですが、それより、「自分のお金が、いつでも把握できる」「いつ何があっても、息子に迷惑をかけない」、この安心感が、大きいです。
通帳整理は、終活の中でも、いちばん始めやすいことのひとつです。
道具もいらない、専門知識もいらない、家でできる。
金曜の朝、ちょっと時間ができたら、引き出しから3つの通帳を取り出して、テーブルに並べてみてください。
そこから、ゆっくり、整理が始まります。
なお、口座の整理、定期預金の解約、相続手続きは、ご家庭の状況や銀行の規定で大きく異なります。具体的な手続きは、必ずご利用の金融機関の窓口やコールセンターでご確認ください。
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