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コラム

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67歳夫婦が、家のバリアフリー化で後悔しなかった3つの判断

ヨバナシ編集部 読了 約5分

67歳の妻と70歳の夫。築35年の自宅を、3年前に少しだけバリアフリー化しました。やっておいてよかった3つの判断と、やらなくて正解だった2つの判断を、実際の費用と暮らしの変化とともに記録します。

3年前、67歳になった私と、70歳になった夫は、築35年の家を、少しだけバリアフリー化しました。

「少しだけ」というのが大事です。

リフォーム業者の見積もりは、最初500万円でした。提案された内容は、玄関の段差解消、廊下の手すり、浴室の引き戸化、トイレの増設、寝室を1階に移動、すべてです。

私たちは、そのうち3つだけを選びました。費用は120万円。

3年経った今、選んだ3つは「やってよかった」と心から思います。選ばなかった2つは「やらなくて正解だった」と思います。

今日は、その判断を記録しておきます。同じ年代でリフォームを考えている方の、参考になれば。

窓辺の朝の光

やってよかった判断1. 玄関の段差解消

これがいちばん効きました。

築35年の家の玄関は、上がり框(あがりかまち)が25センチありました。50代までは何ともなかったのですが、67歳の私には、買い物の重い荷物を持って上がるのが、毎日の小さな負担でした。

業者に頼んで、上がり框を5センチに低くし、踏み台を置きました。費用は18万円。

3年使って、こう変わりました。

  • 重いスーパーの袋を持って上がるとき、つまずきません
  • 雨の日の濡れた靴を脱ぐとき、滑りません
  • 宅配便の方が荷物を上げ下ろしするとき、私が手伝う必要がなくなりました

夫はまだ70歳で元気ですが、5年後10年後を考えると、これだけは早めにやっておいてよかったと思います。

やってよかった判断2. 浴室の引き戸化と滑り止め

浴室は、転倒事故が一番多い場所です。

築35年の浴室は、ドアが内開きの開き戸でした。万が一、浴室で倒れたとき、外から扉を開けようとしても、倒れた体が邪魔になって開きません。

これを引き戸に変えました。同時に、床のタイルを滑り止め加工付きに張り替えました。費用は45万円。

3年使って、こう変わりました。

  • 引き戸は、開閉に力が要らない(夫の腰痛にも優しい)
  • 万が一の時に、外から救助が入りやすい(実際に夫が一度浴室で立ちくらみがあったが、すぐ私が入れた)
  • 床が滑らないので、お湯をかけても安心

転倒で大腿骨を折ると、その後の人生が変わります。45万円で、その確率を下げられるなら、安い投資だと思います。

やってよかった判断3. 廊下と階段の手すり

廊下と階段に、両側手すりを付けました。費用は28万円。

「まだ早いかな」と最初は迷いました。でも、業者が「手すりは健康な時に付けるもの。必要になってから付けようとすると、足りない時間が出る」と言ったのが響きました。

3年使って、こう変わりました。

  • 朝起きて廊下を歩くとき、何気なく手すりに触れる安心感がある
  • 階段の上り下りで、夫の腰痛時に支えになっている
  • 友人が泊まりに来たとき、「いい家ね」と言われる

手すりは、若く感じる人ほど、付けるのを嫌がります。けれど一度付けると、家全体が「安全な場所」になります。これは、健康な人にも、無意識の安心感を与えます。

整えたデスク

やらなくて正解だった判断1. 寝室を1階に移動

業者の最初の提案では、2階の寝室を1階の和室に移すことを勧められました。「将来、階段を上れなくなった時のため」と。

私たちは、しませんでした。理由は2つ。

ひとつ。今、階段を上れないわけではない。70代前半までは、毎日階段を使うほうが足腰の運動になります。動かさないほうが、衰えが早い。

ふたつ。夜の音が変わる。1階で寝ると、外の音と1階の物音(冷蔵庫、給湯器)が直接届きます。2階で寝ているほうが、私たちには静かで、よく眠れます。

将来、階段が辛くなったら、その時に1階に移します。今はまだ早い。

やらなくて正解だった判断2. トイレの増設

「2階にもトイレがあるべき」という提案も、しませんでした。

理由は、見積もりが80万円だったからではありません。

実際の暮らしでは、夜中にトイレに起きる回数は、私たち夫婦は1回程度。そのために2階に増設するのは、お金と空間がもったいない。

それよりも、夜の照明(廊下のセンサーライト、階段の足元灯)を増やすほうが、転倒リスクを下げます。費用は3万円で済みました。

「不便がある→大きく直す」ではなく、「不便がある→小さい工夫を試す→それでだめなら大きく直す」の順番が、60代のリフォームには合っていると思います。

67歳のリフォーム、3つの判断軸

3年経って、振り返って分かった、リフォームの判断軸を3つ書いておきます。

1. 「いま不便」より「5年後の不便」を優先する

玄関の段差・浴室の安全・手すり、これらは「いま困っていない」けれど「5年後絶対困る」ものです。先回りで投資する価値があります。

2. 「将来困りそう」だけでは判断しない

寝室の1階移動・トイレ増設は「将来困りそう」ですが、今困っていないなら、今やらなくていいです。むしろ、今変えると、今の暮らしの何かが悪くなることもあります。

3. 「業者の標準提案」を全部受けない

業者は、安全側で大きく提案します。私たちが3つに絞れたのは、優先順位を自分で考えたからです。業者の見積もりは、最大値だと思って、引き算で考えるのが60代のリフォームには合います。

介護保険のリフォーム補助金

最後に、知っておきたいこと。

要支援・要介護の認定を受けている方は、住宅改修費の支給が使えます。

  • 上限:原則20万円(実費の9割または7〜8割が支給される)
  • 対象:手すり取付、段差解消、滑り止め、扉の交換、便器交換など
  • 申請:市区町村の介護保険担当窓口へ、工事前に申請

私たちは、夫が要支援1の認定を受けたときに、手すりの一部に使いました。20万円のうち18万円が戻ってきました。

要介護認定を受けていない方も、自治体独自の高齢者向けリフォーム補助金があることが多いです。市区町村役場の高齢者福祉課で確認できます。

67歳の私から、これからリフォームを考える方へ

リフォームは、必要な時にやるのではなく、必要になる5年前にやるものだと、私は3年経って思います。

ただし、やるのは3つでいい。

玄関の段差、浴室の安全、手すり。

この3つを120万円程度で済ませて、残りはまた5年後10年後に考える。それが、60代の現実的なリフォームの形だと、私は思います。

家全体を一気に直すお金があるなら、その半分は、夫婦の旅行や、自分の趣味に使ったほうがいい。

家は、住むためにあるのであって、家のために生きるのではない、と67歳の私は3年かけて学びました。

相談できる窓口

  • 市区町村の介護保険担当窓口:住宅改修費支給の申請
  • 市区町村の高齢者福祉課:自治体独自の補助金
  • ケアマネジャー:介護保険の住宅改修プラン作成
  • 地域包括支援センター:高齢者向けリフォーム業者の紹介
  • 国民生活センター:リフォーム業者とのトラブル相談

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