熟年離婚
68歳で、家を出ました——年金分割と『ひとりの暮らし』を選んだ私の記録
『いまさら離婚?』と娘に泣かれても、私は決めました。年金分割、住まいの確保、心の整理——熟年離婚で私が本当にしたこと。
68歳になった年の春、私は45年連れ添った夫と別れました。
決めたのは、娘の結婚式の帰り道
夫は娘の結婚式で、スピーチを代読しました。「父親として、何もしてこなかった」と書いたその手紙を、棒読みで読むのです。会場は涙に包まれたけれど、私は冷めていました。
いまさら、書いた「反省」を読まれても。
帰りのタクシーで、私は「離婚しようと思う」と告げました。夫は何も言わず、ただ窓の外を見ていました。
年金分割について、知っておいたこと
熟年離婚で最も現実的な話は、お金です。とくに年金。
合意分割と3号分割
- 合意分割:夫婦で話し合い、最大1/2まで分割
- 3号分割:2008年4月以降の第3号被保険者期間について、自動的に1/2
私は長く専業主婦だったので、両方を組み合わせました。年金分割は、離婚後2年以内に請求しないと原則できません。 時効があります。
分割しても、劇的には増えない
ここは正直にお伝えします。年金分割で受け取れるのは、夫の厚生年金部分の一部だけ。国民年金は対象外です。私の場合、月に数万円の増加でした。
「これで余裕で生活」とは、なりません。
住まいを、どう確保したか
持ち家は夫名義でした。財産分与で私は現金を受け取り、賃貸住宅に引っ越しました。
公営住宅の申し込み
高齢者向けの公営住宅は、倍率が高いですが家賃が安い。私は運よく、半年待ちで入居できました。2DKで月4万円。
UR賃貸住宅
保証人・礼金・更新料が不要で、高齢者にも比較的借りやすい選択肢です。
「おひとりさま」の保証制度
民間の賃貸でも、いまは保証会社を使える物件が増えています。地域包括支援センターや、社会福祉協議会にも、高齢者の住まいに関する相談窓口があります。
心の整理に、半年かかった
手続きは数ヶ月で終わりました。でも、心の整理は、もっと長かった。
- 「寂しい」と「自由」が、同じ日に来る
- 45年分の台所仕事が、もう要らない戸惑い
- 娘に泣かれた夜、本当に正しかったか揺らぐ
それでも、朝起きて、誰にも気を遣わず、自分のために紅茶を淹れる時間が、私を支えてくれました。
娘との関係
娘には、しばらく会ってもらえませんでした。半年して、孫を連れて訪ねてきてくれました。
「お母さんの顔、明るくなったね」
その一言で、すべて報われた気がしました。
秘密会議のみなさんへ
- 離婚は、ゴールではなく、新しい暮らしの始まり。 準備は、一年以上かけてもいい。
- 年金分割には、時効がある。 離婚後2年以内に請求を。
- 住まいの確保を、お金と同じくらい重要に。 公的住宅の情報を早めに。
- 専門家への相談は、必ず。 弁護士会の「法律相談」は、初回30分5,000円程度のところが多いです。
- 心の整理には、時間がかかる。 ゆっくりでいい。
離婚を勧めているわけではありません。続けることを選ぶ方も、尊いと思います。ただ、「選ぶ自由が、あなたにはある」 ということを、誰かに伝えたかっただけです。
この体験談は、私個人の事例です。制度や金額はご自身の状況により異なりますので、必ず弁護士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。
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