介護
母の介護、気づけば私ばかり——きょうだい三人の『負担の差』をどう話し合ったか
長女というだけで、当然のように介護を担わされた私。弟夫婦との話し合いで見えてきた、家族だから言えない・言わない・言えなかった本音。
母がデイサービスに通いはじめて、二年が経ちました。父はすでに亡く、母は一人暮らし。私は車で15分、弟は新幹線で二時間、妹は飛行機の距離に住んでいます。
気づけば、母のことは「ぜんぶ私」になっていました。
気づいたら、私の生活が消えていた
平日は仕事、週末は母のもと
朝は出勤前に電話で安否確認、昼休みにケアマネさんとやり取り、仕事帰りに母の家へ。土日は掃除と買い出しと通院付き添い。自分のための時間は、月に一、二時間あるかないか。
限界が来たのは、ある日の朝
炊飯器のスイッチを入れ忘れて、職場で泣いたのです。ただのお米なのに。炊けてないご飯を見て、もうダメだ、と思いました。
きょうだい会議、開催
弟と妹に、オンラインで集まってもらいました。三人で話すのは、父の葬式以来です。
「できること」を紙に書いた
最初は、感情的な言い合いになりました。「近くに住んでるんだから」「仕事があるから」「子育てで忙しい」——それぞれに言い分がある。
そこで、感情の話をいったんやめて、「できること・できないこと」を紙に書き出しました。
- 私:平日の見守り、近場の通院、日用品の買い出し
- 弟:金銭的な援助、月に一度の帰省、書類手続き
- 妹:電話での話し相手、写真や便りを送る、夏休みに長期で帰る
お金の話を、ちゃんとした
これが一番、勇気がいりました。「介護にかかる費用」を見える化したのです。母の年金で足りない分、月いくらを、誰がいくら出すか。弟が毎月三万、妹が一万、私は労力で相殺。
お金の話は、家族だからこそ曖昧にしない。
半年たって、関係はむしろ良くなった
弟は月に一度、本当に来てくれるようになりました。妹からの電話で、母はよく笑います。私は、月に一度の休日が取れるようになりました。
完璧な分担ではありません。でも、「全部私」ではなくなった。それだけで、呼吸ができます。
制度と、相談先の話
体験だけではなく、実用の話もしておきます。
地域包括支援センター
各市区町村に必ずあります。介護のことで困ったら、まずここ。無料です。
ケアマネジャー
介護保険サービスのコーディネーター。信頼できるケアマネさんに出会えるかで、負担がまったく違います。合わなければ、変更も可能です。
弁護士・司法書士への相談
財産や相続、成年後見制度のことは、専門家に早めに。最初の相談は無料のところも多いです。
秘密会議のみなさんへ
- 「長女だから」「近くに住んでるから」は、理由にしなくていい。
- 感情の前に、紙に書き出す。 見える化は、揉めごとを減らします。
- お金は、曖昧にしない。 口約束は、後々の火種になります。
- ひとりで抱えない。 制度と専門家は、あなたの味方です。
母は、私が疲れた顔をしているとすぐ気づきます。「ごめんね」と言われるたびに、胸が痛い。でも、いまは笑って「大丈夫よ」と返せるようになりました。
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